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チャンのアーカイブ ページ17







 目的も無く外を走る、息は白く吐き出され、走る速度と比例して消えていく。



「チャニ、おいで」
 出会った頃、Aヌナは何度も手を差し伸べてくれた。
 その手を何も考えることなく掴み、早くヒョンみたいになりたいと願いながらヌナを独り占めできていたのはボクが小さかったから。

 だんだんと繋ぐ手は遠くなり、隣を歩くこともない。寒い日に「他の子には内緒だよ」。と渡してくれたホットココアの味はもう覚えていない。

 ヒョンたちはボクのことを相変わらず小さな子として扱ってくるがヌナは違った。一番最初にボクをヒョンたちと同列に扱ってくれた、嬉しくて嬉しくてしょうがなかったのはボクがあの時まだ小さかったから、ねえ、Aヌナ。ボクはまだあの時、大きくなんて無かったんだ。


「チャナ!」

 呼ばれる声に反応して振り返れば見知らぬ人が居て、誰だっけと思う間に横を子どもがすり抜けていく。
 「ヌナ!」と子どもが飛びつくように抱きつけば女性は嬉しそうに笑った。
 ぎゅっと心臓が痛くなる。
 吐き出される白い息は先程と違い空に舞い上がっていく、それを追いかけるように見れば、雪だ。

「ほら、寒いからこれ巻きなさい」
「ヌナが寒くなっちゃうよ」

 二人のやりとりに目に膜が張る。







「チャニ」
 今日みたいに雪の降る寒い中、ヌナに手を引かれて歩いたのを思い出す。

「寒いでしょう」
 そう言って、ボクにマフラーを巻いてくれた。暖かくて柔らかくてボクの大好きなヌナの匂いがしてボクはそれだけで簡単に幸せになれた。

「これじゃ、Aヌナが寒いよ」
「平気だよ」
「でも、」


「チャニの手はとてもあたたかいから」

 ボクはそれが嬉しくて両手でヌナの手を包み込めば、ヌナは笑ってくれた。今日と同じくとても寒かったはずなのに今日よりもずっとずっと暖かかった。

 大切なボクの思い出。
 昔ばかり思い出してしまうのは、きっとボクが大きくなってしまったから。

 大きく息を吐く。ああ、今日は寒くて凍え死んでしまいそうだ。



「チャニ、そんな寒い格好でなにしてるの」



 いつのまにか先程の二人は消え別の声がボクを呼ぶ、下げていた視線を上げればマフラーから辛うじて出ている目がボクを見つめていた。

「ウォヌヒョン、」






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ソト(プロフ) - ホタルさん» 素敵なコメントいただけてとても嬉しいです!次の話も楽しんでいただけるよう頑張ります(o^U^o) (2021年11月15日 21時) (レス) id: 7fc73c3903 (このIDを非表示/違反報告)
ホタル(プロフ) - とても惹かれる作品でした。楽しませていただきました。ありがとうございます。次の作品を作る機会があればまた覗かせていただきます。 (2021年11月15日 2時) (レス) id: 5ea49f3737 (このIDを非表示/違反報告)
ソト(プロフ) - なつこさん» とても嬉しいコメントありがとうございます!こちらの話は一旦お終いですが、次の話も気に入って貰えるよう頑張ります(╹U╹) (2021年11月14日 20時) (レス) id: 4483e25b83 (このIDを非表示/違反報告)
なつこ(プロフ) - めちゃくちゃ大好きです!好きすぎて占ツクで初めてコメントしました笑 更新楽しみにしています☺︎無理来ない程度に頑張ってください! (2021年11月14日 1時) (レス) @page20 id: 7c5c02582f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ソト | 作成日時:2021年10月31日 20時

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