君のためなら。

分かんねぇけど ページ27

＊＊＊ザックside＊＊＊





レ「今すぐ、私を殺して」





目にいっぱい涙をためて、こちらを真っ直ぐ見つめて、レイはそう言った。





「……泣くなよ。そんな顔じゃ殺せねーって」



レ「……笑えば、殺してくれる？」



「……。」














＿＿＿＿＿＿＿＿＿俺は近頃、ずっと分からなかった。





殺してと懇願する彼女を退け続けて、もう結構経つ。

最初はまだまだ幸薄い顔をしたレイが気に食わなくて、もっといい顔になってから……と思い、殺さずにおいていた。



しかし、時間が経つにつれて、自分はこいつを"殺さない"んじゃなくて、"殺せない"んじゃないか？と思い始めた。



少しずつだが、レイの表情は良くなっている。ずいぶん感情が見えるようになった。
それこそ、たまに幸せそうな顔をする。



なのに、俺はどんどん殺意を削がれていく。

レイが満ちた表情を浮かべると、俺まで満たされるみたいだった。

……正直、殺したくなかった。





俺は嘘が嫌いだ。
2人で、俺とレイで立てた誓いに嘘はなかったはずだった。
何より、俺がこいつを殺す。俺自身が、そう望んだはずだった。

命がけで一緒にビルから抜け出して、これまた命からがら刑務所から逃げ出して、ようやく手に入れたのに。





俺は……約束を破ろうとしている？

嘘を、つこうとしている？





俺は自分のしようとしていることが、さっぱり理解できなかった。













でも。













俺は。

















「言ったろ？悪ぃな。その誓い、守れねぇ。」

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