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kei. 6 ページ44

ポンポンと私の頭を叩く雄也。

丸く形作られた髪型のおかげで、前髪がそのたびに目にかかってくすぐったい。


すぅ…

不意に雄也が息を吸い込んだ。
彼が発するであろう言葉を、私は待つ。
彼はいつになく、真面目な顔をしている。

 

「ねぇ、慧。
 俺たちは若すぎたんだよ、きっと。

 出会ったのも、
 ずっと続くと信じるのにも。
 周りに認めてもらうのも。
 
 若すぎた。

 ただそれだけ。
 誰も悪くないんだ。」


若すぎる。
それは最もすぎる理由だった。


自分のことに精一杯で、周りも見えない年頃。
歳の重ねた大人からしたら、隙だらけで脆かったに違いない。

事実、隙だらけで脆かった。
その結果が今だ。


やはり時が経つと、変わってしまうものなのだろうか。
今はもう若かすぎるわけではない。
大抵のことは分かるようになってくる。


雄也からの答えを聞きたくなくて。
ぐらついた心の中を悟られたくなくて。


返事をしない私をよそに、雄也は更に言葉を続けた。



「でも、俺は…。


 俺はいつまでも慧の味方だよ。
 慧が何をしようと、どこでどんな思いをしようと。

 例え慧が他の人と恋をして一緒になったとしても…
 ずっと、味方。


 俺はあの頃自分が慧を好きになったのは、
 ただ若かったからだとは思わないよ。」


ねえ…
それは本当なの、雄也。
それはどういうことなの?


一時的に私を慰める言葉でないことを、
私は、期待していいの…?



「言っただろ、俺。
 本気の恋しかしないって。


 今でも昔でも、ずっと惚れてるのは…
 慧、あなたしかいないんだ。

 ずっと好きで、ずっと恋してる。
 ずっと…愛してる。


 だからいつでも辛くなったら、俺ん所においで。
 待ってるから。」


「雄也…。」



息がつまるほど、雄也は私のことを強く抱きしめた。

強く、強く。
何にも離されることのないような力で。


彼の中に埋もれてしまう。
それほどに、だった。

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鶏飯(プロフ) - ゆういさん» ありがとうございます!初恋ざぼん。の続編を楽しみにして頂けるのが、とても嬉しいです!今続編の形態について考えている所ですが、何処かでやぶひかちゃん達のことも書けたらな、と思ってます! (2017年5月24日 16時) (レス) id: b5fd4be1cc (このIDを非表示/違反報告)
ゆうい(プロフ) - 完結(?)おめでとうございます!お疲れ様でした!めちゃめちゃ面白くてもっともっと読みたいという気持ちになりました。続編も楽しませていただきます!あと、個人的にやぶひかの続きがとってもきになりまする、、、笑 (2017年5月23日 14時) (レス) id: df0b44da28 (このIDを非表示/違反報告)
鶏飯(プロフ) - あんろさん» ありがとうございます!作者自身も思い入れのあるラスト。感動したと言って頂けて、とても嬉しいです!サイドストーリーの方もよろしくお願いします! (2017年5月21日 11時) (レス) id: b5fd4be1cc (このIDを非表示/違反報告)
鶏飯(プロフ) - 琴莉さん» ありがとうございます!どうやってたかいのちゃんをくっつけようか、頭を悩ませた結果こうなりました。私自身もこの作品を書くのは大好きでした!また琴莉さんの作品にもコメントさせて頂ける日を楽しみにしてます! (2017年5月21日 11時) (レス) id: b5fd4be1cc (このIDを非表示/違反報告)
鶏飯(プロフ) - まいまいさん» ありがとうございます!私もまいまいさんのコメントに元気を貰ってます!続編はもうちょっと先になりますが、ゆとちねの方もゆっくり進めて行きますので、よろしくお願いします! (2017年5月21日 11時) (レス) id: b5fd4be1cc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鶏飯 | 作成日時:2017年5月1日 18時

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