kei. 2 ページ40
私に流せるのは，
ただ会場の厳かな雰囲気に呑まれてあやふやに流す涙だけ。
結局、自分のためにしか流せない涙。
父を思って泣くだけの責任を、今まで負わなかった私。
そんな私以上に父を想っていてくれた人は、たくさんいる。
お母さん、とか。
大貴、とか。
叔母さん、とか。
私なんかには、そんな資格は無い。
二十歳を超えてもなお、わんわんと泣き続ける大貴を前に。
…私は一滴も涙をこぼさなかった。
けれど私は同時に、
“泣けない人間”でもあった。
式が終わり来て下さった親戚が帰るのを見届けていると、おば様方から声をかけられた。
「慧ちゃん、よく頑張ったね。
あの慧ちゃんも強くなったんだなあと思ったわ。
まだお若いのにね。
偉いわ。」
「お医者様になるんですもの。
これぐらいで泣いてはいられないわよね。
気丈にならなくてはいけないもの。
お父様もきっと立派だって、思ってらっしゃるわよね。」
おば様方は実に、私のことをよく見てらっしゃった。
父が死んでもなお、泣かない私を。
1滴の涙もこぼしてあげることのできなかった、私を。
おば様方のお年頃ならまだしも。
二十歳半ばの娘が、実の父親の葬式で泣かないなんて。
やはり少し、おかしかったのだ。
薄情な人間。
心の通わない人間。
…それが、私。
そして自覚した。
＿＿私は救いようのない人間だということを。
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鶏飯(プロフ) - ゆういさん» ありがとうございます!初恋ざぼん。の続編を楽しみにして頂けるのが、とても嬉しいです!今続編の形態について考えている所ですが、何処かでやぶひかちゃん達のことも書けたらな、と思ってます! (2017年5月24日 16時) (
レス) id: b5fd4be1cc (このIDを非表示/違反報告)
ゆうい(プロフ) - 完結(？)おめでとうございます！お疲れ様でした！めちゃめちゃ面白くてもっともっと読みたいという気持ちになりました。続編も楽しませていただきます！あと、個人的にやぶひかの続きがとってもきになりまする、、、笑 (2017年5月23日 14時) (レス) id: df0b44da28 (このIDを非表示/違反報告)
鶏飯(プロフ) - あんろさん» ありがとうございます！作者自身も思い入れのあるラスト。感動したと言って頂けて、とても嬉しいです!サイドストーリーの方もよろしくお願いします！ (2017年5月21日 11時) (レス) id: b5fd4be1cc (このIDを非表示/違反報告)
鶏飯(プロフ) - 琴莉さん» ありがとうございます!どうやってたかいのちゃんをくっつけようか、頭を悩ませた結果こうなりました。私自身もこの作品を書くのは大好きでした!また琴莉さんの作品にもコメントさせて頂ける日を楽しみにしてます! (2017年5月21日 11時) (レス) id: b5fd4be1cc (このIDを非表示/違反報告)
鶏飯(プロフ) - まいまいさん» ありがとうございます!私もまいまいさんのコメントに元気を貰ってます!続編はもうちょっと先になりますが、ゆとちねの方もゆっくり進めて行きますので、よろしくお願いします! (2017年5月21日 11時) (レス) id: b5fd4be1cc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鶏飯 | 作成日時：2017年5月1日 18時
