初恋ざぼん。（tk×in♀）3

yuya. 1 ページ28

島で唯一、そして人気の定食屋。

光ちゃんのご両親が営むその定食屋は、あらゆる人で賑わっている。


これからの仕事へ向かうという漁師さん。
島の学校の仕事終わりの教師が、わいわいがやがやと宴会をしていたりもする。

分厚くて粗い木目のテーブルは、今まで何人もの人に囲まれてきたのだろうか。


3ヶ月ぶりにこの島に戻って来た。

その際、同じ便のフェリーに乗るという薮と待ち合わせをして、なんとなくこの定食屋で飲むという雰囲気になったのは良かったものの…

今になって俺は、少し困っていた。


「あんた、ちょっと飲み過ぎじゃないの。」


「いーじゃんか、週末ぐらい。
　学校の生徒がポカやらかして、俺ら教員まで禁酒週間だったんだよ。

　校長とかはヘーキで飲んでるくせにな。


　お義母さん、おかわり。」


「駄目。
　あんたも早く帰んなさいよ。

　いくら私の娘でも、ぞんざいに扱ったら許さんよ。」


そう言いつつ、仕方ないわね、と光ちゃんのお母さんは受話器を取る。
もはやいつものことらしく、光ちゃんのお母さんも薮の扱いには慣れているよう。


…ちらと俺達の方を見て、電話で何か話している。


一瞬目が合った気がしたが、どうも俺のことは覚えていないらしく、大した素振りもされなかった。




「ちぇっ、けち。」


お酒のおかわりを断られたからなのか。
早く帰れと言われた事からなのか。

明らかに不満そうな顔する薮。


「まぁ、水でも飲んで。」


と俺が差し出した水も、彼は受け取ろうとしなかった。


…こりゃ相当酔ってんな。
　参ったな。

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