yuto. 6 ページ40
彼女は黄色い実が積まれている一角の前に、立っていた。
いや、立ち尽くしていたと言った方が近い。
彼女はかごに3つ、丁寧に包まれた黄色い実を入れ、手に1つ持った実をじっと見て佇んでいた。
手に持った1つの実。
その実は彼女の前に置かれているものと籠の中に一緒に入ってるのと同じ物のはずなのに、まるで別のもののように見えた。
何か彼女の中に秘めているもの。
それを取り出して、あの実の形にしたためたようだった。
違う、全然違う。
その時の慧は慧であって、そうじゃなかった。
今まで見たことのない緊張感に包まれた慧だった。
あるいは哀しみ、あるいは戸惑いかもしれない。
驚くほど不安定な状況に置かれている彼女。
自分がむやみに触れてしまったら、音を立てて崩れてしまいそうな慧、だった。
初めて彼女の本当の“素”を見た気がした。
そんな慧に一歩を近づけないで固まっていると、彼女はふとこちらを向いた。
「あれ、裕翔。
何でそんなところに突っ立ってるのよ。」
彼女は不思議そうな表情をして、俺を見ている。
慧は、いつも通りの彼女に戻っていた。
…さっきのは、気のせいだったのか。
そう思って、慧に歩み寄る。
「それだったんだ。
探してた食べ物。」
「そ。
ざぼん、っていうの。
実家に送ろう、と思って。
昔は実家で穫れたんだけど、今は実がならなくなっちゃったんだって。
家族みんな好きだったし、いいかなって。」
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まろっぺ(プロフ) - 山田さんどこで出てくるのか教えてほしいです。想像力がないもので… (2018年6月17日 18時) (
レス) id: 5a53f9baf1 (このIDを非表示/違反報告)
鶏飯(プロフ) - まいまいさん» 私も裕翔さんサイドを書いていて、本当に切なくなってました笑。どちらを応援したらいいのやら…。みんな上手く幸せになってくれればいいんですけど…。これからもよろしくお願いします! (2017年5月1日 18時) (レス) id: b5fd4be1cc (このIDを非表示/違反報告)
鶏飯(プロフ) - みかさん» 裕翔さん、めちゃくちゃいい人なんですよねぇ…。慧ちゃん、それに気付く日は来るのかしら…。書けるかな、どうかな。これからもよろしくお願いします! (2017年5月1日 18時) (レス) id: b5fd4be1cc (このIDを非表示/違反報告)
鶏飯(プロフ) - よーかさん» そうですよねぇ…。作者である私もラストをどうしようかと、頭を悩ませています笑。次の章でもしかすると見方が変わって来るかも…?これからもよろしくお願いします! (2017年5月1日 18時) (レス) id: b5fd4be1cc (このIDを非表示/違反報告)
鶏飯(プロフ) - みちさん» ありがとうございます!ある人物、当たってましたでしょうか…?かなり意外な人物だったのではないかと…。移行後もよろしくお願いします! (2017年5月1日 18時) (レス) id: b5fd4be1cc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鶏飯 | 作成日時：2017年4月10日 21時
