ryosuke. 10 ページ33
「元カノ、ですか。」
雄也先輩の視線が,揺らいだ。
横から見ても切れ長の目が、頼りなく彷徨うのがわかった.
「初恋の、ひと。
もう随分と前に別れたんだ。
そこそこうまくいってたと,思ったんだけどなぁ。
なんだかよくわかんないうちに、彼女の方から別れを告げられて。
お互い若かったし,彼女の方にも事情があっただろうから…
何とも言えないんだけど、さ。」
「まだその人のこと、
好き、なんですか…?」
雄也先輩は、唇を噛んだ。
一文字で結ばれたその唇は、何を語るのだろうか。
遠くでバイクの音が近づいてくるのが聞こえ、やがてフェードアウトしていった。
「 あの頃みたいにずっと彼女を考えているわけじゃない。
だけど、ふとした時に彼女のことが心に浮かんでしまうんだ。
いつかは帰ってくれるって信じてるのかもしれないけど、
大人になって、よく分かった。
…一度離れちゃうと、なかなか会えないんだね。
いつまでも未練たらたらじゃ、格好悪いね。
…そろそろ、潮時かな。」
別れ際、雄也先輩が絶対に他の人に言うなよ、と念を押した。
承知しました、と答えればじゃあ、と言って帰って行く雄也先輩。
その背中は、広くて大きい。
男の、背中。
俺はその背中に向かって、叫んだ。
「俺は、憧れます。
初恋の人を、ずっと想い続けるの。」
そう言うと雄也先輩はありがとうと振り返って、またすぐに帰っていった。
冷え込んだ夜道を、ひとり歩く。
ここを歩くのもあとわずかとなるだろう。
そうしたらまた、東京での生活が待っている。
また新しい年が来る。
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まろっぺ(プロフ) - 山田さんどこで出てくるのか教えてほしいです。想像力がないもので… (2018年6月17日 18時) (レス) id: 5a53f9baf1 (このIDを非表示/違反報告)
鶏飯(プロフ) - まいまいさん» 私も裕翔さんサイドを書いていて、本当に切なくなってました笑。どちらを応援したらいいのやら…。みんな上手く幸せになってくれればいいんですけど…。これからもよろしくお願いします! (2017年5月1日 18時) (レス) id: b5fd4be1cc (このIDを非表示/違反報告)
鶏飯(プロフ) - みかさん» 裕翔さん、めちゃくちゃいい人なんですよねぇ…。慧ちゃん、それに気付く日は来るのかしら…。書けるかな、どうかな。これからもよろしくお願いします! (2017年5月1日 18時) (レス) id: b5fd4be1cc (このIDを非表示/違反報告)
鶏飯(プロフ) - よーかさん» そうですよねぇ…。作者である私もラストをどうしようかと、頭を悩ませています笑。次の章でもしかすると見方が変わって来るかも…?これからもよろしくお願いします! (2017年5月1日 18時) (レス) id: b5fd4be1cc (このIDを非表示/違反報告)
鶏飯(プロフ) - みちさん» ありがとうございます!ある人物、当たってましたでしょうか…?かなり意外な人物だったのではないかと…。移行後もよろしくお願いします! (2017年5月1日 18時) (レス) id: b5fd4be1cc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鶏飯 | 作成日時:2017年4月10日 21時