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ryosuke. 6 ページ29

バージンヘアの、ロング。

美容師冥利に尽きる相手の、お客さん。
だが黒髪のロングなんて、髪の毛にこだわりを持っている人が多い。

高校生ならまだしも、そんな知り合い普通いるか?
第一、美容師に好きにまかせるなんて、怖すぎる。

そんな人、どうせ現れないだろ。
そう思っていたら、その人は現れた。

春になる、ちょっと前に。




「すみません。
 今日はもう、閉店なんです。」


閉店後に度々お客さんが間違って入ってきてしまうことがある。
それを追い帰すのも、新人の仕事。


…それでもなお、その人は扉の前でもじもじとしていた。

早く帰ってくれないかなと思っていると、その人が口を開いた。


「あのう…。
 高木雄也さん、いますか。
 この時間に来るように言われたんですけど。」


「雄也先輩です、か。
 ちょっと待っててくださいね。」


この時間に雄也先輩に用か。
…何があったのだろう。

ひょっとして、彼女?

修羅場だけは勘弁してほしいなと思いながら掃除をする雄也先輩を呼ぶと、


「お、きたきた。
 ごめん、待たせたね。
 光ちゃん。」


と呼んで、店の中に入れた。


「先輩、これから何するんですか。」


と恐るおそる訪ねれば、先輩は


「練習させてもらうの、この店の伝統で。
 お願いしたら快く、引き受けてくれて。」


と言って、シャンプーの準備をし始めた。


あぁ、あのバージンヘアのなんちゃらの人か。
確かに手のつけられていない髪の毛はつやつやと光っていて、潤っている。


でも、俺は正直思った。
髪を切ったところで__。


正直その人は「もさい」印象が強かった。

黒髪で顔が隠れてるし、なんか服装バラバラだし。
…悪く言えば田舎くさい、という所だろうか。


そんなに期待しない方が、いいかもしれない。
俺はそう思って掃除機をかけていた。

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まろっぺ(プロフ) - 山田さんどこで出てくるのか教えてほしいです。想像力がないもので… (2018年6月17日 18時) (レス) id: 5a53f9baf1 (このIDを非表示/違反報告)
鶏飯(プロフ) - まいまいさん» 私も裕翔さんサイドを書いていて、本当に切なくなってました笑。どちらを応援したらいいのやら…。みんな上手く幸せになってくれればいいんですけど…。これからもよろしくお願いします! (2017年5月1日 18時) (レス) id: b5fd4be1cc (このIDを非表示/違反報告)
鶏飯(プロフ) - みかさん» 裕翔さん、めちゃくちゃいい人なんですよねぇ…。慧ちゃん、それに気付く日は来るのかしら…。書けるかな、どうかな。これからもよろしくお願いします! (2017年5月1日 18時) (レス) id: b5fd4be1cc (このIDを非表示/違反報告)
鶏飯(プロフ) - よーかさん» そうですよねぇ…。作者である私もラストをどうしようかと、頭を悩ませています笑。次の章でもしかすると見方が変わって来るかも…?これからもよろしくお願いします! (2017年5月1日 18時) (レス) id: b5fd4be1cc (このIDを非表示/違反報告)
鶏飯(プロフ) - みちさん» ありがとうございます!ある人物、当たってましたでしょうか…?かなり意外な人物だったのではないかと…。移行後もよろしくお願いします! (2017年5月1日 18時) (レス) id: b5fd4be1cc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鶏飯 | 作成日時:2017年4月10日 21時

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