kei. 15 ページ22
＿＿可哀想、だ。
その言葉を宏太に言われないうちに、私は遮った。
「雄也はもう、関係ない。」
雄、也。
自分で口にしたはずのその言葉はかえって、心を揺るがした。
もう、過去のことにしよう。
もうきっと彼は、私のことなど忘れてしまっているだろうから。
自分から振ったくせに。
こんなに未練がましく思うなんて、図々しい。
私は、彼の他の人との幸せを願うしかない＿＿。
沈黙が流れる。
自分があまりに、冷たいことを言ってしまったのに気づいた。
「ごめん、私。つい…」
「俺も、悪かった。」
私は言いかえした事で、気まずくなってしまった雰囲気。
テーブルの上のコーヒーは、すっかり冷めてしまった。
携帯が鳴る。
タイミングが良いのか悪いのか、電話の主は裕翔だった。
「もしもし。」
「もしもし、今どこ？
慧、全然見当たらないんだけど。」
しまった。
今日は18時から暇だと彼に連絡し、会う約束をしていたのをすっかり忘れていた。
時刻はとっくに20分を超えている。
「ごめん、今からすぐに行く。
あと30分くらい、かかるかも。」
「了解。
じゃあ、適当に近くの本屋で時間つぶしてるね。」
ありがとう、ごめんね。
そう言って、切った電話。
「彼氏、か?」
宏太は私の顔を、覗き込むように言った。
真偽を答えるまでは行かせない、そんな強い眼差しだった。
「本当にごめん。
今から行かなきゃ。」
「いってらっしゃい。
ちゃんと…考えろ、よ。」
「うん、わかった。
そうする。
相談乗ってくれて、ありがと。」
「おう、またな。」
薮宏太に手を振って、店の外に出る。
秋になってすっかり夜は寒くなった。
寒い中に、裕翔を待たせてしまった。
今の時間は、裕翔のことだけを考えよう。
そう肝に銘じて私は今頃本屋で雑誌を立ち見している裕翔のもとに、地下鉄の駅へと足早に向かった。
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まろっぺ(プロフ) - 山田さんどこで出てくるのか教えてほしいです。想像力がないもので… (2018年6月17日 18時) (
レス) id: 5a53f9baf1 (このIDを非表示/違反報告)
鶏飯(プロフ) - まいまいさん» 私も裕翔さんサイドを書いていて、本当に切なくなってました笑。どちらを応援したらいいのやら…。みんな上手く幸せになってくれればいいんですけど…。これからもよろしくお願いします! (2017年5月1日 18時) (レス) id: b5fd4be1cc (このIDを非表示/違反報告)
鶏飯(プロフ) - みかさん» 裕翔さん、めちゃくちゃいい人なんですよねぇ…。慧ちゃん、それに気付く日は来るのかしら…。書けるかな、どうかな。これからもよろしくお願いします! (2017年5月1日 18時) (レス) id: b5fd4be1cc (このIDを非表示/違反報告)
鶏飯(プロフ) - よーかさん» そうですよねぇ…。作者である私もラストをどうしようかと、頭を悩ませています笑。次の章でもしかすると見方が変わって来るかも…?これからもよろしくお願いします! (2017年5月1日 18時) (レス) id: b5fd4be1cc (このIDを非表示/違反報告)
鶏飯(プロフ) - みちさん» ありがとうございます!ある人物、当たってましたでしょうか…?かなり意外な人物だったのではないかと…。移行後もよろしくお願いします! (2017年5月1日 18時) (レス) id: b5fd4be1cc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鶏飯 | 作成日時：2017年4月10日 21時
