初恋ざぼん。(tk×in♀) 2

kei. 14 ページ21

そんなに簡単じゃない。


でもきっと彼ならそれを裏切ったりすることは無いだろうし、

私も今、この人以外に具体的な将来を想像することの出来る人はいない。


だからといって私が島からわざわざ東京まで出てきて6年も大学に通った挙句、実際に働くのがわずか1年、というのは…

あまりにも親不孝、ではないだろうか。


それに、小さい頃からずっと夢見てきた、夢。

あらゆる時間と可能性をあきらめて、追いかけてきた。
そんなに簡単に捨てられるものじゃない。


「私は何をしに、東京まで来たんだろ。」



今私が見るべきなのは、自分の夢か、現実か。


…どちらかを手にすれば、どちらかを捨てなければいけないのだろうか。
　こんな悩み方をするのは、贅沢なんだろうか。


　少し昔の自分なら、なんと言うだろうか。



黄み掛かった月が、空にぽっかりと浮いていた。





私の話が終わると、宏太は難しい顔をしていた。
しわの寄った眉間に、指を当てている。


「そのすれ違いは、ちょっとの問題じゃねえよな。」


「そう、だよね。」


「聞いてる限り、その彼氏は真面目で、イイヤツそうだな。

けども、よ。

島から出て、医者になる夢はで叶えようとしてんのに。
1年だけやって、お前諦めきれんのか。

ずっと昔からの夢だったのに。

あんだけ勉強して。
あんな思いまでして。

勿体無くないか。
結婚で辞める、って。


それじゃあ、あんまりにも雄也が…」

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