初恋ざぼん。(tk×in♀) 2

kei. 11 ページ18

裕翔は、真面目で堅実な人だ。

普段から時間はきっちり守るし、服装一つ取っても綺麗だ。

一度ちらっと見た彼の手帳はびっちりと予定が書きこまれていて、小さな文字が並んでいたと思う。


経済学部に通うという、彼。

彼はあらゆる人に人気で、特に女子大生には莫大な人気を誇っていた。

実際あれほどすらっとした長身で少しクールな整った顔をした人は、今まで見たことがない。


長身のイケメンで、さらに成績が優秀とくればそれだけで飛びつく子なんて、わんさかいることだろう。


…要は、モテるのだ。


「いいよね、慧は。
　あんな超優良物件と付き合っちゃってさ。」


なんて、女友達に度々イジられるぐらいだ。



超優良、物件。

確かに世の女子からしたら、本当はそうなのかもしれない。
玉の輿を狙う女子ならば、なおさらだ。


それもそのはず、彼は御曹司だったのだ。
日本大手企業の、中島グループ。
社長の、息子。



別にそれが良くて、付き合ってるわけじゃない。

そんなことは付き合った当初は言われなかったし、彼の真面目な一面が好きだったからだ。


知ったからといって、何も変わらないと思っていた。

彼とはうまくいっていたし、私も彼のことが好きだった。


しかし将来のことを考えた時、一つの迷いが生まれた。
今まで考えもしなかった彼の生い立ちが、こんな影響を与えるとは。


その迷いが生じたのは、つい1か月ほど前のことだった。

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