初恋ざぼん。(tk×in♀) 2

kei. 8 ページ15

コーヒーをすすった彼は、また話し始めた。


「俺ね、にちょうど一年くらい前かな。
　東京で光にばったり会ったの。」


「え?
　光って、あの光よね?」


長年親友だった光。
東京に出てからはばったり連絡を取っていなかったが、東京に来ていたなんて。


「そう、あの光。
　なんか従兄の結婚式だったみたいで。

　ばったり会ってさ、すんげーびっくりしたんだよね。」


「そりゃするでしょ。
　光、元気そうだった？」


「 元気そうだったけどあんまりにも東京では頼りなさそうでさ…。

　一緒に東京観光したりとかして。
　なんとなく、ね。」


島から上京してきた時私もすごく不安だった。
電車もバスも多すぎて、良く分からない。

…光のことだからきっと道に迷ったりしたのだろう。

そこを、宏太が通りかかった。


「ひょっとして。」


宏太は照れ隠しなのか目線をちら、と外して口元を綻ばせた。


「そう、

　俺たち、今付き合ってます。」




宏太曰く、光は食堂を手伝っていて、なかなか地元に住む光とは会えないらしい。
たまに長期休暇に入ると地元に戻って、会っったりデートしたりしていると言う。


宏太の指に巻かれた絆創膏のことを聞けば、


「光の家に遊びに行ったんだよ。
　料理教えてもらおう、と思って。

　そしたら不器用だから、俺。
　指、切っちゃった。」


と言ってふにゃと笑う、宏太。
昔から変わっていない彼の笑み。


カフェに流れるBGMは明快で優しい、クラシック音楽が流れていた。

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