kota. 10 ページ32
高木の目は遠くを見る。
思い出したのは慧のことだろうか。
そのまなざしに、寂しさの色が浮かんだ。
「ちゃんと理由を言って振られるんだったら、
光ちゃんもまだ納得するかもね。」
「そうか。」
「うん。
もちろん振られるのは悲しいけれど、ちゃんと理由を言わないで別れようって言われるのはもっと辛いんだ。
慧、みたいにね。」
「ひどい別れ方って、それだったのか。」
「何が原因かわからないまま、行っちゃったから。
携帯の番号も変えたみたいで、繋がらないんだ。
考えても考えても、わからない。
あれだけ好き、ってお互い思っていたはずなのに。
納得できないんだよ。
だから諦めきれないと言うか。」
その時女と付き合った経験のなかった俺は、彼の気持ちをほとんど理解することはできなかった。
また、慧がなぜちゃんとした理由を言ってからこの島を出なかったのかもわからない。
それは、当人にしか分からない理由だ。
「高木、本当に慧のこと、好きだったんだな。」
「うん、好きだった。
大好きだった。
…もう一度会いたいよ、慧。」
俺はその時、初めて高木が泣いたところを見た。
来たばっかの頃はチャラくて、中身がすっからかんだと思っていたこいつは、本当は暖かくて人情に溢れるやつだった。
スレていると思っていたこいつは、珍しいほど純粋なやつだった。
そんな高木を島に残して去った慧は、どんな心境だったのだろうか。
お前が好きになったコイツは、確かにいいやつなのに。
なぜ。
日の落ちかけた水平線に、穏やかな波がゆらゆらと漂っていた。
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鶏飯(プロフ) - ひかりさん» 番号飛ばし、ご指摘ありがとうございました。いゃぁ、ついやってしまいました…。これからもよろしくお願いします! (2017年4月10日 21時) (
レス) id: b5fd4be1cc (このIDを非表示/違反報告)
鶏飯(プロフ) - よーかさん» ありがとうございます!とっても嬉しいです!これからもよろしくお願いします! (2017年4月10日 21時) (レス) id: b5fd4be1cc (このIDを非表示/違反報告)
鶏飯(プロフ) - みるみるみるきーさん» 良かったぁ…。綺麗になっていく光ちゃん、にやにやしながら書いてました。（←ヤバイ奴ですね…。）これからもよろしくお願いします、姉上! (2017年4月10日 21時) (レス) id: b5fd4be1cc (このIDを非表示/違反報告)
鶏飯(プロフ) - みちさん» ありがとうございます!そう言って頂けて、とても自信になります。これからも書いて行きますので、どうぞよろしくお願いします! (2017年4月10日 21時) (レス) id: b5fd4be1cc (このIDを非表示/違反報告)
鶏飯(プロフ) - いののんさん» ありがとうございます!光ちゃん、綺麗になっていく過程書くのは、凄く楽しかったです!たかいのとは対照的なやぶひかの結末は続編でも書いて行きます! (2017年4月10日 21時) (レス) id: b5fd4be1cc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鶏飯 | 作成日時：2017年3月23日 20時
