138話 ページ5
殺せんせーとの話を終え、私達は山を降りた。
その道中、不破さんの、殺せんせーと浅野理事長が似ているという話に、心の中で静かに同意した。
化け物じみたカリスマ性を持つこの二人が
同じ学校で教育に関わっている。
そして、今回__浅野理事長が教壇に立った。
この期末テストは、私たちだけの勝負じゃない。
__二人の教育者から授かった、刃を披露する場。
殺せんせーにとっても、負けられない戦いなんだと思う。
そう思っていた時、カエデの口から浅野くんというワードが出た。視線を前へやると、待っていたかのように浅野くんが立っていた。
学秀「単刀直入に言う。あの怪物を君らに殺して欲しい。
もちろん、物理的に殺して欲しいわけじゃない。
殺してほしいのは__アイツの教育方針だ」
矢田「教育方針って……どうやって」
学秀「簡単な話だ。
次の期末で君たちE組に上位を独占して欲しい。
もちろん一位は僕になるが、優秀な生徒が優秀な成績でも意味がない。君たちみたいなゴミクズが、A組を上回ってこそ、理事長の教育がぶち壊せる」
片岡「浅野くん、君と理事長の乾いた関係ははよく耳にする。……もしかして、お父さんのやり方を否定して、振り向いて欲しいの?」
学秀「勘違いするな!父親だろうが蹴落とせる強者であれ。そう教わってきたし、そうなるよう実践してきた。
__人がどうであれ、これが僕ら親子の形だ」
『……』
“パパは、怖くないの?殺されるかもしれないのに
……わたしは、怖かったよ。ナイフを向けられるの”
“いいか?A。私たちは殺し屋だ。人の命を奪うことは、生半可な気持ちでやってはいけない。
奪った以上、汚れた手を感じながら生きていくんだ。
__だから死ぬ時が、殺し屋として生きた私たちの、寿命だと思ってるんだよ”
E組への憎悪を支えに、限界を超えて勉強をさせる。
これが今のA組で__地獄だと彼はいう。
間違ったやり方で手にした勝利。
敵を憎しみ、蔑み、陥れて手にする強さには限界がある。
そんな手駒では、支配者を支えることが出来ない。
__そう彼は言った。
学秀「……時として敗北は、人の目を覚まさせる。
だからどうか。正しい敗北を__僕の“仲間”と父親に」
しかし今、プライドの塊である彼が頭を下げている。
傲慢な言葉でも、苛立ちはしない。
その言葉に秘められている気持ちが、純粋だから。
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為人(プロフ) - いゆんよさん» ありがとうございます!頑張ります!! (2022年7月27日 23時) (レス) @page23 id: 8ac863d303 (このIDを非表示/違反報告)
いゆんよ(プロフ) - 投稿見ました!Twitterフォローさせていただきました。これからも頑張ってください。完結も楽しみです。 (2022年7月27日 23時) (レス) @page24 id: da21190636 (このIDを非表示/違反報告)
為人(プロフ) - いゆんよさん» はわわ!ありがとうございます!いつも長らくお待たせしてしまい申し訳ないです!!夢主ちゃん、私も大好きなんです!☺︎投稿にいつも間が空いてしまっているのですが、これからも読んでくださると嬉しいです! (2022年7月20日 23時) (レス) id: 8ac863d303 (このIDを非表示/違反報告)
いゆんよ(プロフ) - コメント失礼します、とても面白い作品で大好きです。続きが出るのをワクワクしながら待ってます!見てるとあ、夢主ちゃぁん!カッコいい!!ってずっとなっていますwこれからも頑張ってください! (2022年7月20日 23時) (レス) @page23 id: da21190636 (このIDを非表示/違反報告)
為人(プロフ) - あさん» ありがとうございます。名前はミスでした……すみません(泣)。あってはいけないミスでした、、教えてくださりありがとうございます(土下座) (2021年11月7日 11時) (レス) id: 8ac863d303 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:為人 x他2人 | 作成日時:2021年3月5日 21時