9話 ページ10
“カリム様！競走致しませんか？”
“「おういいぜ！！
今日は絶対に俺が勝つからな〜！｣”
“二勝二敗、カリムの絨毯の扱いが日に日に上手くなるから俺もうかうかしてられないや”
“こうやってる時間が一番好きなんだ
この時だけ従者だけど、主と競えあえることが本当に誇りで…俺の主がカリムで良かったと思うよ”
陽光を背景に「俺もAとの競走好きだぞ」と、俺の主は言った
優しくて、太陽そのもののように温かい
そんな主を…俺は慕っていた
本当のことを話せば、絶対俺を受け入れてくれる
罪人のレッテルを貼られた俺を傍においてくれる
でも…俺は、もう《もう、穢れすぎた》
『俺に触れるな！！』
握られた手を振り払い、目の前にある胸板を押して抜け出しては距離をとる
握り潰してしまいそうな程握りしめているマジカルペンをカリムに向けた
『お前を殺せば…全てが終わって満たされるのか？
…俺は、どうしたらいい
守る者を失った従者に、生きる価値も存在価値もないように…ずっと満たされない』
じゃあ、もう一度従者としてカリムの隣に立てば俺は満たされるのではないか
毎回その考えが過ぎっては、抑え込む
お前は罪人だ、人を騙して殺してきた人間だ…と
『
呪文を唱えた直後、それを阻止するようにガンッ…と、鈍い音がして衝撃が襲いかかる
視界が歪んで…ぐらっと身体が傾いていった
不安定な意識の中、駆け寄りながら俺の名を呼ぶカリムと、難しい顔をしたまま俺をしれっと姫抱きするジャミルがいた
どうやら氷の魔法での塊が俺へ後頭部に放たれたようだった
「とりあえず中へ入ろうカリム、俺が何とかする｣
「でもジャミル、俺…！」
「……はぁ…とりあえず報告はしない。それでいいか？」
「…！おう！！ジャミルはいつも俺の事をわかってくれるな！ありがとうジャミル！！」
「…ふっ、従者として当たり前だ」
馬鹿らしい茶番だ
何が従者として当たり前だ、俺への当てつけだろう
内心苛立ちが増していたが、意識が安定せずそのまま俺は意識を手放してしまった
＿＿そして、そんな俺を見て笑うやつが一人
すたすたと身軽そうに抱えながら自分の部屋へと運んでいたのだった
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為人(プロフ) - サイコパス人間さん» ありがとうございます！頑張りますね！ (2020年8月17日 0時) (
レス) id: 8ac863d303 (このIDを非表示/違反報告)
サイコパス人間 - 頑張ってください！！これからも頑張ってください！ (2020年8月16日 23時) (レス) id: a7568b633b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：為人 x他2人 | 作成日時：2020年7月12日 2時
