14話 ページ15
ジャミルside
幼い頃、俺はカリムと育ってきた
ずっとわざと負け続けてきたことに苛立ち、苦しかった頃“A”が現れた
良い奴だった。カリムとの勝負に負けてもコイツとなら本気で勝負して勝つことが出来る
カリムに負けた分、コイツに勝てばいい
そう思ったが、実際俺に張り合ってきて勝った事もあったし、負けることもあった
《本気で勝負して一番をとる》ことが楽しかった
この時だけ、俺は《自由》になれていた気がしていた
三人で育つことに不満はなかった
＿＿なかったはずだった
「よし！オアシスまで競走だ！！
いっくぞ〜〜〜っ！！A！」
『あははっ！負けないからな〜！！』
Aが、カリムにわざと勝ちを譲ることはなかった
それが許されたのは、アイツがアジーム家に引き取られたという立場だからだ
アイツは俺と違って、競うことを許された奴だった
俺が譲る代わりに、普通のアイツを競わせて成長させようとしてたんだ
正直、従者としてら同じ立場としていい関係を築くことが出来るやつだと思っていた
…だが、一度思ってしまった
《羨ましい》《どうしてお前は許されるんだ》
《俺だって本気で一番を狙いたい》
《お前みたいに自由に空を飛びたい》
空を飛ぶ二人を見つめる俺に、叔父が呟いた
「アジーム家に代々使えているバイパー家が、よそ者に劣るなど合ってはならぬ
我が一族において、あの者は邪魔でしかない
…ジャミル、気に食わぬなら消せ。良いな」
その言葉が、俺の心に突き刺さった
陥れた時、どこか心が軽くなった気がして
俺は自分の愚かさに笑ったんだ
「あはは…っあははははははははは！！！
あっはははははははははははははっ………ははっ…
……………………………………すまない…」
毒が盛られたと騒ぎになった時
連れていかれるAと目が合った
瞳は絶望で染まっていた
見届けてから俺は小さく、小さく謝罪の言葉を呟いた
…俺は一生、アイツに恨まれる存在である必要がある
バイパー家である限り、俺はカリムの従者で一番になれずに生きていかなくちゃならない
そして、Aを陥れたように汚いことをするだろう
＿＿＿＿＿恨め、俺を一生恨むといい
それでお前の悲しみが薄れるのなら、俺は構わない
それがせめて俺ができる償いだ
俺を恨んで、怒って、殺したいと復讐の炎を燃やしてらばいいんだ
《絶対に、俺を許さないでくれ》
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 82人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
為人(プロフ) - サイコパス人間さん» ありがとうございます！頑張りますね！ (2020年8月17日 0時) (
レス) id: 8ac863d303 (このIDを非表示/違反報告)
サイコパス人間 - 頑張ってください！！これからも頑張ってください！ (2020年8月16日 23時) (レス) id: a7568b633b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：為人 x他2人 | 作成日時：2020年7月12日 2時
