ザ・クイズショウ６【Kamiyama Satoru】 (ページ8)

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ザザー、と暗くなるテレビ。

ふと、我に返る。

美野里ちゃんはどうなったんだろう。
ここはどこなんだろう。
さっきの人は誰だったんだろう。

さっきより暗い部屋の中。
真っ暗。暗闇。そのぐらい、何も見えないくらい暗い。
光は、クイズショウが映ってるテレビだけ。
そのテレビも今はもう光はない。

まるで、暗闇が、私の心のよう

そういえば、さっきのヒントは美野里ちゃんの居場所のヒントだった。
…ということは、この場所のヒントは誰も知らない。

「…もしかして…」

誰も、助けに来ない…？

フラッシュバックするのは水の中。

私だけが沈んでいく。

悟は美咲ちゃんばかり見て、私を見てくれない。

ずっと、ずっと、そうだった。
でも、私は悟が幸せになってくれるなら…。

そう思って生きてきた。

でも、どうしても、あの日だけは…。

『悟…』

神『美咲…美咲…』

1度だけ。
1度だけでいいから。

私にも手を伸ばしてほしかった。

沈んでいく水の中で、声なんて聞こえないはずなのに、悟の美咲ちゃんを呼ぶ声だけが響いた。

「っつ！」

今度は頭に激痛が走る。

美『悟…』
神『ん？』
『…どうしたの？』

悟がじゃがいもの皮をむいている横で私は玉ねぎを切る。
美咲ちゃんはカバンをあさりながら悟に声をかけた。

美『カレーのルウ忘れちゃった』
神『まぁじかよー美咲ぃ』

悟の笑う声。

美『ごめん…どうしよう…』
『大丈夫だよ、美咲ちゃん』

私が声をかけると同時に男の人の声がした。

桂『あのー…これ、もしよかったら。』

カレーのルウをくれた男の人。
…あ、そうだ、そうだった。この人が桂木さん…。

美『すみません』

…なんだ、桂木さんもいい人だったんじゃん…

悟と美咲ちゃんは笑い合ってる。

大雨。

横たわる美咲ちゃん。
固まっている悟。
その様子を見ている俊雄くん。

私は…

ひとりだ。

「ぅっ…いやぁ…っふぇ、っ」

急に。怖くなった。

暗闇の中ひとり。
動けなくて、ここの場所を知る人なんていなくて。

怖い、寂しい、

そんな感情が私の心を支配して。

ボロボロと目から涙がこぼれた。

「誰か…ったすけて…っ」