3.初仕事 ページ5
夢主side
「ってなわけで暫くは俺と一緒に行動すること。いいな?」
あの後、私は太宰さんと中原さんにマフィアに関する一通りの情報を貰い、中原さんの部下となった
『分かりました、中原さん。
...で、私は何を?』
パソコンに向かっている中原さんにそう聞くと、中原さんは眉間にしわを寄せて口を開いた
「...悪ぃけど、敬語外してくれないか?
なんか...関わりにくい。あと、“中原さん”も禁止。これ、上司命令な。」
頬杖をつきながら淡々と云った
『...分かった。』
「ん。」
暫く沈黙が続き、部屋にはキーボードの音だけが響く
『そういえば、ち、中也。今日はデスクワークだけなのか?』
マフィアだから殺しの仕事とかもするのかな...と単純に思ってしまった私のささやかな疑問だった
「ん?ああ、ちげえよ。この後、ちょっと潰しに行かねえといけねえんだ。
...一応、手前にもついてきてもらわないといけねえが、大丈夫か?」
『うん。多分大丈夫じゃない?』
あっけらかんと私は答える
記憶喪失、とはいっても失ったのは本当に記憶だけで、なんだか体は“なにか”を覚えているようだった
それがなんなのかは私には分からないが。
「...さて、そろそろ行くか。」
『はあい。』
中也はさっ、と外套を羽織り、私たちは拠点を出た
_____
『...ここが今回潰す組織の建物?』
そこは町の外れにある、廃ビルだった
「嗚呼。この組織はつい最近うちの武器庫を襲撃したんだ。...そして首領はこれを宣戦布告とみなした。」
そう私に説明し、心配そうに私の顔をのぞき込む
「...手前、本当に大丈夫か?首領の命令だから仕方なく連れてきたが...。」
『...大丈夫。私の前職、暗殺者だったんでしょ?きっと、何とかなるよ。』
私はそう誤魔化す
中也はそうか、とだけ云い、ビルの中へ足を踏み入れた
3人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:雫size | 作成日時:2019年12月10日 12時