２５真偽 ページ40
加瀬は今生身でいる時間を増やしてきている。生身の体力を落とさないようにだ。なのだが……
「加瀬くーん？」
「お前が恐ろしくて出てこれないんだろ」
「あら。それは二宮君がいるからじゃない？」
絶賛鬼ごっこ中だ。二宮と加古だか、離れているが、火花を散らしているのがよく分かる
「はぁ……はぁ……」
火花を散らしている間に加瀬は２人から離れ、人気が無くなった通路の壁に凭れ掛かる
「ふ…ぅ…うっ……」
急激に動いたせいか、治りきっていない傷が痛む。ベンチも無いため痛みに耐えられず、壁を摺り落ちるようにその場に蹲る
「はぁ……」
どのくらい痛みに耐えていたのかわからないが、痛みが落ち着き、痛みに耐えるためにいつの間にか力に入っていた体から息を吐き出して力も一緒に抜く
「あの…人達…は、何で会うたびに、喧嘩、するんだ？」
壁をつたい立ち上がりながら加瀬は先程の二宮と加古の様子に呟く
「そこで何している」
後ろから声をかけられ、加瀬は後ろを小さく振り返る
「影…浦……」
訝しそうに加瀬を見る影浦。彼のＳＥを考えれば人気の無い通路を使うのも頷ける
「あんた……」
「ちょっ…と、疲れてな……休んで体から、動くつもりだ」
何故ここにとも思ったが彼のＳＥを思い出し、なんでもないように言って前を向き目を瞑る
「はぁ……」
影浦のため息を零す音が聞こえ、彼がいなくなるなと思ったところでグイッと体が引っ張られる。加瀬がえ？と思った時には影浦が肩を貸し歩いてどこかに行こうとしていた
「か、影浦？」
影浦「どうせ動けなくなってたんだろ？なら、ちゃんと休めるところで休め」
ぶっきらぼうに影浦が言う。見た目と言動で怖がられがちだが、根は他の同級生と同じ優しさを持つ後輩だ。加瀬は大人しくついて行くことにした
影浦「……」
加瀬の様子に影浦は一先ず安堵した。彼が影浦自身を含めたボーダーを守るために独り戦っていた時、彼の話すことと思っていることのあまりの違いに問い詰めようと一人の時に話しかけた
静かに口元で人差し指を立てた。その時の表情はとても困ったように笑いながらその仕草をした。気付かれた誰にも言わないでそんな感情が弱々しく伝わりそのことを結局誰にも言わず
そしてあの事件が起きた。加瀬の気持ちもわかる。だけど
影浦「(この人はもう少し知ればいい)」
加瀬が想うように周りも加瀬のことを大事だと想うことをー……
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作者名：クーシー | 作成日時：2022年5月25日 21時
