▽続き ページ39
斗亜side
斗「...正門くん何してるんですか？」
正「いや、見ての通り行列並んどるなぁ。」
斗「ちゃいますよ！...なんで西村に譲ったんです？好きなんでしょ？Aちゃんの事。」
つい食い気味に質問してしまう。
正門くんは優しすぎるんや。
せやからチャンスを逃すんや...。
正「言うたやん。俺がこれ乗りたかってん。」
斗「僕が乗りたがってたからでしょ。」
正「...。」
斗「図星ですね？笑」
正「斗亜には申し訳ないねんけど...ちょっとだけ後悔しとるわ。」
斗「正門くんが悪いです。」
正「知っとる、斗亜は悪くないで。笑」
斗「座りましょ。」
正「はい...？」
斗「やっぱりこれ乗るの嫌です。」
正「...そか。ええで、そこ行こか。」
知っとった。わがままを全て聞いてくれること。
僕達は、小さなベンチに腰掛けた。
正「なんか話したいことあるん？」
斗「僕、正門くんのこと好きです。」
正「へ？」
斗「西村も、長尾くんも道枝くんも恭平くんも...。みんな大好きなんです。」
正「あぁ、そゆことな。笑」
斗「Aちゃんに取られるって思ったんです。優しい正門くんも、仲間でありライバルの西村も、道枝くんも...恭平くんも長尾くんも...！！」
涙が溢れてしまう。こんなつもりちゃうかったんに。
斗「だから邪魔したるって思って...。」
Aちゃんは全てを持っとる。
紅一点として人気で...ズルいんや。
ファンのみんなも、最初はアンチが多かったんにみんなどんどんAちゃんのファンになっていく。
僕が頑張っていったもん、全部すぐ手に入れちゃうんや。
最初、全然推されてなくて...最近になって急に推され始めたくせに...。
斗「ごめんなさい...、ごめんなさい...。」
正門くんは黙って全て聞いてくれた。
そして謝ると、優しく僕を包み込んでくれた。
正「ごめんな、斗亜。」
斗「...なんで正門くんが謝るんですか？」
正「Aばっかりで...斗亜のこと気に掛けられんくなっとったかもしれへん。気にしているつもりやったけど、疎かやったかもしれん。」
斗「そんなことないです！！」
正「...でも泣いとったやん。」
斗「正門くんは、僕があれに乗りたいって気づいて声掛けてくれました。Aちゃんと2人になれるチャンス無駄にして。」
正「...でも本当は乗りたくなかった？」
斗「いえ！あのアトラクションは大好きです。」
正「そっか。」
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作者名：咲良 | 作成日時：2019年8月21日 18時
