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むやみやたらと自分のカードを見せたくないというのもある。むしろこちらの手札を暴きたいくらいだろう。任務とは一切関係の無い、俺の秘密を。
「聞きたいことがあるんなら、どうぞ？」
片手間に煙草を取り出すと、咥えた側からひったくられる。
なんだ、と顔を上げると手にあったボックスすら取り上げられ握り潰され一緒にゴミ箱行きとなった。
ここのところ値上がりしてんのになぁと惜しむ気持ちでゴミ箱の中にあるだろう残骸をプラスチックの外側から眺める。仕方がないので口寂しさはコーヒーで誤魔化すことにした。
飲み口から口を離してふぅ、と息をついた俺に、降谷零は立ち上がって開いていたカーテンを閉めながら尋ねる。
「何故俺のメールアドレスを知っていた。あの携帯はプライベート用だ、データには載ってない。長官に尋ねたがお前に俺のアドレスを教えた覚えも、俺が組織に潜入する旨を伝えた覚えもないそうだ」
まぁ、つつくとしたらそこだろうな。缶コーヒーをヘッドボードに置いて、ベッドに腰掛けた。
この間は指摘されなかったが、聞いてもいいと言われれば尋ねたくもなるだろう。
何故、と言われればそれは俺が�牴韻┐討い燭�ら�瓩箸靴�言いようがないんだが、それをそのまま伝えるわけにいかない。
そもそも俺がああしたのは俺に関心を向けさせるためであり、同時に俺に警戒心を抱かせるためでもあった。回答に逃げ道を作るつもりなどなかったのだ。
「ひとえに、俺の情報収集能力のおかげだとでも思ってくれ」
「……いいだろう」
おや。てっきりふざけるなと激昂されるかと思っていたのに。
あっさりひいた降谷零に目を丸くする。却ってなんだ、と尋ねられたので首を左右に振りながら視線を落とした。
降谷零ともあろうものが今ので納得するわけがない。そもそも長官からの指令は、それを受ける本人にしか内容を知らされないので、情報収集能力がいくら高くともそれを知ることは殆ど不可能に近い。
もちろん会話の内容を盗聴器等で聞かれていれば話は別だが、絶賛潜入捜査中の俺にそんなのはできっこない。それを知った上で追求しないということは、問い詰めても吐く気はないと悟ったということだろうか。
聞いてもいいとは言ったが正直に話すとは言ってないからな。それとも、答えは返ってこないと分かっていて、なんらかの確認のために聞いたのかもしれない。
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作者名：タイガ | 作成日時：2023年8月28日 20時
