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 さて、今回の仕事についていくつか話をしよう。
 ターゲットは始末屋と言われる裏稼業の人間だ。名を、小枝村という。
 この男はいくつものヤバい仕事をこなしてきた。いつだったかニュースで流れていた大使館殺害事件も裏ではこの男の仕業だと言われている。
 警戒心が異様に強く、近しい人間にもその素性を明かすことは無い。そのため裏の業界では「顔のない男」として名を馳せていた。
 が、組織に命を狙われるということはどうやら誤って虎の尾を踏んでしまったらしい。
 その小枝村は、現在切持ホテルというところに部屋を借りて身を隠しているようだ。

 相手は用意習得な始末屋だ。これまでの逃走生活から見るに、奴はホテルの部屋を出ることはほとんどせず、部屋に篭って過ごすらしい。安全とわかれば滞在、少しでも不審があればホテルから抜け出し、また別のホテルへと住処を変える。ホテル内のレストランは利用せず食事は部屋でとるほどの徹底っぷりであるため、奴を押さえるには部屋を特定しなくてはならない。
 組織の情報網で現在宿泊しているホテル名までは突き止めたが、部屋番号は未だ分からずじまい。そうなると俺たちもホテル内に入り込む必要がある。

 当然相手は小枝村の名前でチェックインしてはいないだろう。だからといって一つ一つの部屋を確認するにも手間がかかる。どうにかして調べる部屋数をしぼれないだろうか。


「ホテルへの潜入は君と安室君に任せよう。俺は外で、狙撃ポイントとめぼしい部屋を探してみる」
「……その方が良さそうだな。何にせよ、ホテルの外観と安室の意見を聞いてからになるだろうけど」


 何駅か乗り換えるたび、少女の位置を確認してライの視界に写らないようさり気なく場所を誘導する。
 なに、俺だって真面目に会話してるさ。何かのついでに話すような内容じゃない。ただちょーっと真剣な会話で仕事の話に集中させているだけで。
 そうやって物騒な会話をしていると、ようやく安室と待ち合わせていた駅に到着した。よし降りるかとなったとき「ところで」と切り出したライに肩をつかまれる。驚いてその顔を見つめると、ライは俺の肩を透かした向こう側を見ていた。




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作者名:タイガ | 作成日時:2023年8月28日 20時

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