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約束の時間より早くまだ余裕のある時間にわざわざモーニングコールしてくれたライに「すまん、電池が切れて動けないから換えを買いに行かなくちゃ」という訳の分からない寝言をかました俺を殴りたい。
まだ時間はあるから慌てなくていいと言われたが、仕事明けの仕事をこなす二人と、休み明けの俺とでは話が違う。財布が入ったままのパーカーを羽織り、ギターケースを肩にひっかけて家を飛び出す。中にはベースと、整備済みのライフルや拳銃が仕舞われている。
この日のために、休みに入る前からそうやって準備していたというのに、いざ当日となると寝坊してしまう自分の不甲斐なさに呆れ果てた。
待ち合わせをしていた駅へ着くと、既に到着していたライが俺を出迎えてくれた。遅れて悪いと一言謝ると、電車に間に合ったので問題ないと返ってくる。
安室とは別の駅で待ち合わせている。もし乗り遅れていたら何を言われていたことか。安室透の皮を被った降谷零は、多分物凄く憤慨する。公安とはいえ一応公務員なのだから、作業をする上で時間厳守は絶対だと思っているに違いない。
「あぁ、そうだライ。電話ありがとうな。にしてもどうして俺が寝坊するとわかったんだ？」
確かにライとは何度か一緒に仕事をした仲だが、時間に遅れたことは一度もない。ふと疑問に思ってそう尋ねた。
横に立つライはずり落ちたギターケースの肩紐を背負い直す。俺のと同じで、あの中にもライフルが入っているのだろう。今日から数日で下見を終わらせてそのまま目標を沈黙させる必要があるため、一々家に帰っていられない。なので、仕事に必要な道具は持ってきているのだ。
「ベルモットから、休み明けの君は何故か寝穢いので気をつけろと言われてな」
「……そう、だったのか？」
ベルモットにも、謝っておく必要がありそうだ。勿論手土産も忘れずに。
心の中で一度謝罪の言葉を述べて合掌した。自覚がないのはタチが悪いだろう。
そういえば何度か、仕事前にベルモットから電話を受けたことがあった。何でもないような口ぶりで暇だから電話したなんて言われたが、あれはもしかしたら俺がちゃんと起きているか確認する為だったのかもしれない。
顔には噫気にも出さず、しかし内心ではベルモットに対する罪の意識を募らせたところで、プラットホームに降りて電車を待つ。
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作者名：タイガ | 作成日時：2023年8月28日 20時
