I'll have to ease you 4 ページ27
「…え？」
「さっき、別れてきたの。…すっごくあっさりだった。あたしも全然悲しいとかなくて、どうでもよくて、羽生くんに早く逢いたいって思った。嘘、つかれてるって分かってても。」
彼女の目から溢れる涙が俺のTシャツに滲んで染みを作る。何も言えずにその顔を見つめていたら、不謹慎だけれど喜びが溢れ出して止まらない。
「羽生くんが、あたしのこと本当に好きって言ってるのは嘘だって分かってたのに…っ。」
「…嘘じゃねぇし。」
「…いいよ、もう。」
「だから、嘘じゃないってば。好きだよ、Aちゃんのこと。好きだから、いっぱい酷いことしたくなったんです。俺のこと忘れられないようにって。俺じゃなきゃダメだって思わせたかったから。」
そう言って頬に幾筋も流れていく涙を親指で拭うと、更にその瞳から雫が溢れだす。拭っても拭っても意味をなさなくて、やわらかな身体を引き寄せてそれを舐めとると、Aちゃんは鼻にかかったような甘い声を漏らした。
「…本当に別れたんですよね？」
ちらりと飾られた写真立てに視線を向けると、Aちゃんが鼻の頭にキスをしてくる。今日は今までで一番求められてるような気がして、愛おしさが一気に溢れてきた。
「別れたよ。帰ったらいらない物捨てようと思ってたら、羽生くんがいるんだもん。」
「…何も言わないで行ったら、俺のこといっぱい欲しがってくれるかなって思ったんだもん。Aちゃん、寂しがり屋だから。」
「寂しかったよ、羽生くんがいないの…。」
「ほんと？」
「本当。」
「…結弦って呼んで。」
「何、急に…。」
「急じゃないし。いっつも呼んで欲しかったんです、名前で。」
「…結弦…くん。」
彼女が紡ぐ俺の名前は特別な響きを持っていて、どうしようもなく満たされる。やっと俺の所に来てくれた。もう絶対に誰にも渡さない。彼女の丸ごと全部俺のものだ。
「てか、さっきから本当悩ましいんですけど。」
「え、…あ！」
自分が一糸纏わぬ姿であることを思い出したAちゃんは、いきなりそわそわと忙しなくなる。
「いいよ、着なくて。またするんだから。」
「ぁ、や…っ、」
「今度はうんと優しくしてあげる。…大好きだよ、Aちゃん。」
「あたしも、結弦くんが大好き。」
寂しい思いをさせてしまうことは絶対にある。それでももう離せないから、何度も好きだと伝えるよ。君が苦しい思いをした分、他の誰でもない俺が楽にしてあげる。
君以外に誰がいるというの→←I'll have to ease you 3
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はなこ(プロフ) - るりさん» 初めまして！コメントありがとうございます！そう言っていただけると本当嬉しい限りです(；＿；)シーズン始まってオータムクラシックを終えここからだなぁと楽しみです♪更新も近々したいなと思っているのでよろしくお願いします(´>_<`) (2015年10月21日 21時) (
レス) id: 69df3ca31c (このIDを非表示/違反報告)
るり(プロフ) - はなこさん初めまして。書かれるお話がどれもツボで、何気にその時の結弦くんとリンクもしているお話も多くていつもドキドキニヤニヤwしながら読ませていただいてます！シーズンが始まりワクワクするプログラムで幸せを感じてます！またお話楽しみにしてます（＾ν＾） (2015年10月21日 18時) (レス) id: d42f8a3817 (このIDを非表示/違反報告)
はなこ(プロフ) - ゆったんさん» いつもありがとうございます♪少しでも癒しになったならそれは嬉しいです！色々と大変なこともあるかもしれませんが、無理なさらずに(>_<) (2015年9月13日 0時) (レス) id: 69df3ca31c (このIDを非表示/違反報告)
ゆったん - はぁ〜、今回の話、すごく癒されました！最近あまりいいことがなかったので、優しく諭されているような気分になりました。ありがとうございます！次も楽しみにしてます (2015年9月10日 23時) (レス) id: 56a839c14f (このIDを非表示/違反報告)
はなこ(プロフ) - りまさん» りまさん、コメントありがとうございます！お優しいお言葉までかけていだき本当ありがたい限りです(；＿；)そうなんですよね〜！こんな風に甘やかされたい。。(笑) (2015年9月7日 0時) (レス) id: 69df3ca31c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はなこ | 作成日時：2015年5月25日 23時
