シスコン☆ドクター。３〈橙〉

story98 ページ9

あなたside




章ちゃんの顔を見ると
何だかすごく安心して。


"頑張ったなぁ""もう大丈夫やで"
って優しく言ってくれるから、
思わず涙が溢れてきて
思いっきり泣いてしまった。


章ちゃんは優しくぎゅってして
落ち着くまで背中を
とんとんしてくれて、
横山先生も何も言わずに
ずっと傍にいてくれて。


二人の優しさをすごく感じて
"自分は一人じゃないんだ"って思えた。


裕「Aちゃん、
マルまだ起きんと思うから
何かお昼食べてき。

病院の中に食堂もあるし
コンビニもあるで。」


横山先生に言われて時計を見ると
もう12時を過ぎていた。


(……お腹空いてないんだけどな…。)


章「一緒にご飯食べよか^^

食欲ないかもしれへんけど、
何か食べんと元気になれへんで！」


「……うん…。」


裕「ここ午後から外来で使うから、
マル病棟に移しとくな。」


章「せやな。

病棟の方が静かやしな！」


章ちゃんと横山先生の間で
何やら話が進んでるけど、
二人に任せることしかできない。


章「ヨコちょがマルのこと
病棟の方に運んどいてくれるって。

ちょっとの間だけヨコちょに
マルのこと任せてご飯食べてこよ？」


裕「大丈夫やから、任せとき？」


「………はい…。」


章「よしっ、Aちゃん行こっ^^」


章ちゃんが手を差し伸べてくれたから
その手をぎゅっと握る。


章ちゃんに手を引かれるまま
やってきたのは病院内にある食堂。


章「Aちゃん、何にする？」


券売機で先に食券を買うシステムらしく
章ちゃんがお金を入れながら聞いてくる。


「あのっ……私、お財布お家……」


何も持たずに救急車に乗ってきたから、
あるのはポケットに入ってるスマホだけ。


章「そんなん気にせんでええから(笑)

ほら好きなもん選び？」


「……すいません………。」


食欲ないし…
一番安いかけうどんを選んだ。


章「僕何にしよかなぁ〜…

ん〜…オムライスにしよ♪」


章ちゃんが食券をお店の人に
渡してくれて、
できた料理を持って席に座る。


章「いただきま〜す♪」


「……いただきます…。」


お出汁を一口飲むと、
胃炎を起こしてたときに
隆くんが作ってくれたうどんの味と
何となく似ていて…。


隆くんが作ってくれたのの方が
もっともっと優しい味だったけど…。


それでまた隆くんが倒れていた姿が
頭に蘇ってきて、


「……ｸﾞｽｯ………うぅ……っ…(泣)」


気づいたらまた目からは
涙が溢れてきて止まらなくなった。

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