検索窓
今日:5 hit、昨日:5 hit、合計:15,524 hit

2 ページ8

「あ、Aヒョン」
宿舎のリビングに行くと、Aヒョンが座っている頭が見えた。声をかけても返事がないから、近寄って顔を覗き込むと、スヤスヤ寝ていた。

「Aヒョン、起きて。風邪引くよ」
肩を揺らすと、Aヒョンはゆっくりと瞼をあげた。

「…ジソン?」
「うん。寝るならベッドでちゃんと寝ないと」
「…ん〜」

Aヒョンは目を擦ると、目の前に広げていたPCと資料を一瞥した。

「…これやらないと…」
「眠いんでしょ?今は寝て、明日やりなよ」
「あー」

Aヒョンはゆっくりと俺を見て、言った。

「ジソンア、久しぶりに一緒に寝るか〜?」
「…えっ」

そういえば、一緒に寝るなんて久しぶりかも。

「なんだよ〜、いやなのか〜」
「い、いや!寝る!一緒に寝る!!」

Aヒョンは眠いのか、かなりぽやぽやしている。ヒョンが拗ねて一緒に寝ないなんて言い出す前に、慌てて返事した。

俺は眠そうなヒョンを担ぐように自分のベッドに連れていった。

ヒョンは、ベッドに転がると、俺に向かって手を伸ばした。
俺もベッドに潜り込み、ヒョンに抱きついた。

暫くその体制でいたけど、少したっても眠れなかったから、小声でヒョンに声をかけてみた。
「…あのさ、Aヒョン」
「ん〜?」

Aヒョンは、起きていたみたいで、返事が返ってきた。

「Aヒョンは、夢とかないの?」
「うーん。スキズのマネになる前は、ライブカメラマンになりたかったかな」
「…ライブカメラマン?」
「そうそう。ステージでパフォーマンスしてるアーティスト撮るの。これでも実家にはカメラ結構あるんだぜ」

その話を聞いて、すごく心がざわついた。

「その夢は、諦めたの?」
「え?」
「俺がずっと傍にいてって言ったから…?」

Aヒョンは、さっきまで眠そうだったのに、今は真っ直ぐに俺の目を見ている。
自分の言い方がずるいのはちゃんとわかっている。Aヒョンは、絶対に優しい言葉をかけてくれる。

わかってるけど、今だけは、どうしてもAヒョンに優しくしてもらいたかった。

「うーん、諦めたっていうか…」
Aヒョンは、言葉を選んでいるようだった。

「なんだろう。見つけちゃった感じかなぁ」
「何を?」
「自分の毛布ってやつ?」
「え?」

3→←毛布



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (64 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
287人がお気に入り
設定タグ:straykids , スキズ , 男主人公
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作成日時:2023年8月26日 11時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。