気づいたときには【KS】 (ページ34)

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受け入れ態勢￤KS ページ34

飲み会の帰り道

終電を逃したけれど、今日は2人とも歩ける状態だから
一駅分歩くことにした

…僕は心こそは歩ける状態だけど、体は悲鳴をあげていた

今日は手を繋げず、手と心が寂しい
“実はね、僕…今日熱があるんだ”の一言が言い出せない

彼女は僕が海外大学院に進学することを知ってから
何かを我慢し、また僕に素直に甘えてこなくなった

いつも彼女は先回りをしてしまう
けれど僕にとっては道草であって

…正直、入学するまで約4ヶ月しかないのに
互いが正直で居られないことはとても辛かった

それに、合格発表の日だって…
ちゃんと僕の前で大泣きしてほしかった

何故、彼女は今でも僕に素直に甘えられなくなるのだろうか…

見えない溝が…存在していることに
今更気づいた

「もう秋なんだね。寒いね…」

『今日はあんまり飲まなかったんだね？
　いつもなら冬でも半袖になる～って言うくらい暑がるのに』

「今日はねえ、あんまり飲んでないんだ～」

『珍しいね』

「うん」

どこかぎこちない会話と
いつまで経っても完全に心を開いてもらえない僕とこんなにも脆い僕らの関係に、僕は再度心を痛めた

…同棲し始めてから初めて1人になりたいと思った

「今日は1人で寝るね」

ああ…こんなところまで似てしまうなんて
以前までは彼女が僕に似てくるのがとても嬉しく思えたのに…

今はどうしてこんなにも、憎いのだろうか

彼女も僕も互いに違うことを受け入れられていないだけなのに…