気づいたときには【KS】 (ページ28)

今日:12 hit、昨日:1 hit、合計:57,351 hit

覚悟￤KS ページ28

隣で僕の手を握りながらスヤスヤと眠る彼女に
僕は今日、伝えなければならないことがある

『オーストラリアか...』

少し遠いよね...
でも、ちゃんと帰ってくるからね

長期休みも、クリスマスも、お正月も
君の誕生日にも...必ず...

･･･

あれから僕は寝られなかった...

どうしても言わなければいけないのだろうか...

後で知らせてから行きたくなくなるより、今報告して行きたくないって思っておいた方が気が楽だよな...

『オーストラリア、一緒に行こうよ...』

自分で決めたことなのに思い切りがない僕は、彼女もオーストラリアに連れ込もうか悩んだ

けれど、それは違うよねって我に返った

以前彼女は、もしも留学することが出来るのなら北欧諸国に行きたいと言っていた

その頃、僕はお世話になっている教授から
“積極的に海外の留学生を受け入れているオーストラリアの大学院に進学してみては？”と薦められた

...もちろん真っ先に浮かんだのは彼女のこと

けれど、もしも僕と彼女が将来結婚することになったとして...
そう考えると留学をして視野を広げたいという願望が日に日に強くなって行った

...僕自身の経験値を上げるため、それと彼女との付き合いを棒に振るわないために

僕は、少しだけ彼女と離れることを選んだ