神山くんと恋をする。2

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「楓との写真とか思い出は全部捨てたんやけど。
どうしても卒アルばっかりは捨てられんくて。
また見たくなったら見てくれてええけど。
寄せ書きみるのはもうなしな？
Aにそんな顔させたない。」



私が知る由もない8年も前の
出来事に嫉妬してなんだか恥ずかしい。
こんなにかっこよくて、優しい智洋くん。
そんな人に彼女がいなかったはずがないんだ。



「ほんまに若気の至り。5年も経っとるし、
正直もう思い出せない事の方が多い。
Aもそれは分かるやろ？」



そうだ。智洋くんだけじゃない。
私だって高2から5年以上付き合った彼氏がいた。
今は何とも思ってないし、
むしろ付き合ってた頃の事あまり思い出せない。
きっと智洋くんも同じ気持ちだ。



「と、とも、、くん。」


「、、、ん？！」



勇気を振り絞って家族に呼ばれてる
呼び方を真似して少し甘えてみる。
智洋くんは不意打ちでびっくりしている。
あぁ、やっぱりこの人がすきだ。



「ともくんは、私の事すき？」


「なんやねん！あかん、かわいすぎや！
俺はAがすき。Aだけがだいすき。
やから、今の俺を見て欲しいんやけど。」


「せっかく実家まで連れてきてもらったのに
こんな雰囲気にさせてごめんね。
私もともくんがだいすきです。」



私がともくんに抱き着くと、
私の背中に手を回してきつく抱き締めてくれる。
大丈夫。こんなに愛されてる。
過去は変えられないけど、それはお互い様。



ともくんの家族も、ともくんが私にずっと
片思いしてたって言っていた。


ともくん自身も、入社してからずっと
私に片思いしてたって前に言っていた。


疑う事なんて１つもない。
ちゃんと、ともくんの事を信じよう。



なんで付き合ったのとか
なんで別れちゃったのとか。
本当は気になったけど聞くのやめておこう。
その代わり少し楓さんについて教えてもらった。



大学も同じで、ともくんのダンスサークルも
よく見学に来ていたみたいで。
同じサークルだったシゲ先輩も知ってるらしい。




「ダンスしてるともくん、見たかったなぁ。」



私がそう呟くと。
DVDがある、と控えめに教えてくれる。
ただ、楓さんが撮影したものだそうで
楓さんの姿こそは映っていないけど
声がちょっと入ってるみたい。






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