婚約者11 ページ12
……いや、正確に言うと、開けなかったんじゃない。
なぜなら……この部屋から、中にいる人から発せられる背筋が凍りつくような殺気に、反射的に手を離してしまったからだ。
開けちゃ、いけない。開けたら殺られると、俺の生存本能がそう言っている気がした。
……何でお見合いに来てこんな恐怖体験してんだろ、俺。
逃げなきゃ、と思うものの、恐怖で体がうまく動かない上、こんな見ず知らずの、しかもバカでかい屋敷を逃げ回っても、迷子になって捕まるのがオチだ。
じゃあどうする……？ 焦っているのも相まって、考えても考えてもいいアイディアは思い浮かばない。
──次の瞬間。
「っ！！！」
部屋の中から発せられる殺気が一段と強くなる。は？ まじかよ……これ、普通なら気絶するレベルだぞ。殺気だけで人殺せるんじゃねえの？？
俺はもちろん一般人だが、一応小さいころに鍛えられていたのもあってなんとか意識を保てている。……が。
腰を、抜かしてしまった。
って、やばいやばいやばい！！ ちょうど気づかれたときに腰抜かすとか……致命的すぎるだろ！？ 逃げらんねーじゃん！！！
そう、プチパニックに陥った直後。
一瞬、銀色の何かが俺の頭上めがけて高速で飛んで行くのが見え、意味が無いと分かっていながらも反射的に足で床を蹴って後ろに下がる。……勢い余って後ろにあった柱に頭と腰をしたたか打ち付けてしまった。まあ、その何かは俺の頭上の少し上を通り過ぎたようから、無事っちゃあ無事なのだけれど。証拠に、ガッと硬いものが刺さる音が聞こえたし、とりあえず、一安心。
「いってえぇ……」
小さくうめき声をあげながら片手で後頭部をさする。視線を上げると、目の前に在ったはずの襖はどこに吹き飛ばされたのやら跡形も無くなっており、代わりに広々とした居心地の良さそうな和室と、パンツスーツを着た女性の足が視界に映った。
……嘘だろ？ 和室の中には彼女以外誰もいなくて。すなわち、それは彼女があの銀色の物体──おそらく、というかかなりの高確率で武器だろう──を投げた張本人だということ、で。
細かいことは分からないが、あんな高速で何か物を投げるのは相当力が要るはずだということは確かに身をもってよく分かった。人間業じゃないとすら思ったのに、投げたのは、女性？
「……どんな肉食動物が来るかと思ったら……肉食動物どころか小動物ですらない、ただの草食動物が来るとはね」
ふいに声がして、ばっとさらに視線を上げる。
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ゆきか - 初コメ失礼します！すごく好みの作品で楽しく見させていただいています！続き待ってます！ (2019年10月28日 16時) (
レス) id: f42ad21887 (このIDを非表示/違反報告)
夢うさぎ??(プロフ) - ゆうりさん» コメントありがとうございます！ あわわ、面白いだなんて……ありがとうございます！！ まだまだですが、より面白い物がかけるように頑張ります！ (2019年7月1日 3時) (レス) id: 4da07b4f90 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうり - 関連作品ランキングにあったので、読んでみたら凄く面白くて一気読みしてしまいました。受験大変ですよね(-_-;)私も去年大変でした。 頑張ってください！応援してます！ (2019年6月30日 16時) (レス) id: 616da87ebb (このIDを非表示/違反報告)
夢@雲雀さんのムスッがかわいすぎてヤバイ(プロフ) - むにゃさん» コメントありがとうございます！ 頑張ります！！ だいぶテストやばいんですが、人生初ライブなんでなんとかしたい、いやしてみせようと思います！！ (2019年4月3日 17時) (レス) id: 8a8c64050c (このIDを非表示/違反報告)
夢@雲雀さんのムスッがかわいすぎてヤバイ(プロフ) - 露都さん» コメントありがとうございます！ 死ぬ気で頑張ります！！ 更新はしばしおまちを……。 (2019年4月3日 17時) (レス) id: 8a8c64050c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夢うさぎ | 作成日時：2019年3月26日 16時
