〇俺が見とるよ＊sha ページ9
(sha side)
今、Aは俺よりも忙しいらしい。俺より早く家を出て、俺より遅く帰ってくる。平日がそんなんだから、土日は死んだように眠って起きてくるのはお昼すぎ。
｢おはよ…｣
sha｢おはよう。今日は早いやん。なんか食べる？｣
そんな彼女が珍しく8時過ぎに起きてきた。キッチンで自分の朝ごはんを用意しながら声をかけた。返答はないが、こっちに歩いてきているような気がする。
sha｢俺用意するけど……ってA？｣
｢しゃお。しゃお…ぎゅー……ぎゅうして…｣
sha｢ん、おいで。はよ起きてきたと思ったらどしたん〜そないぼろぼろ涙流して…｣
後ろを振り向けば、泣きながら俺のもとに歩いてくるA。抱きしめて欲しい、と強請る彼女を優しく抱きしめる。いつもよりも肩が小さく感じて、相当無理しているんだと悟った。
sha｢もっかいお布団行こか。俺ももっかい寝るから、な？｣
｢うん…うん…｣
sha｢いっぱい頑張っとるもんな。えらい、えらいで｣
｢〜〜っ、しゃおっ｣
俺に縋りついて涙を流すAを抱き抱える。ぎゅっ、と首に腕を回してくるのが愛おしい。この子は俺が守らないと、なんて庇護欲が湧いてくる。
ベッドに彼女を下ろして、その隣に横になる。腕を広げれば、Aは俺の服をきゅ、と掴んで胸に顔を押し当てた。よしよし、と頭を撫でて安心するように促す。
sha｢Aが頑張っとるのよく知っとるから。俺がAのこと見とるから。俺の隣でくらい、肩の力抜きや？｣
｢うん…ありがとう…｣
sha｢こんくらい気にせんでええよ。ゆっくりおやすみ｣
頭を撫でていれば段々と彼女の瞼が落ちていく。すーすーと規則正しい寝息が聞こえてきて安心する。頬に伝う涙を指で優しく拭って、額に唇を押し当てた。
sha｢俺がいくらでも褒めたるからな｣
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作者名：ゆう
| 作成日時：2021年10月11日 0時
