〇応援してるで＊ci ページ13
(ci side)
ここ最近のAは、ちょっと苦しそう。何かを頑張っているらしいが、上手くいってないのだろうか。はたまた、ただ頑張りすぎているのだろうか。話してくれてないから俺には分からん。
ci「……A。がんばれ」
「えっ、なに？」
ci「いんや？俺、万能やないからAが何を考えてて、どうして欲しいのかは分からんけど、なんか頑張ってそうだからちょっと言ってみたわ」
驚いたような顔をするAの頭をぽんぽんと撫でる。ふわり、と優しく微笑むとじわりと彼女の目の端に涙が浮かんだ。
ci「ほんまは、がんばれって言いたくないねん。人間、張り詰めすぎたら切れてまう。頑張りすぎたら壊れてまうねんで？」
「それは…知ってる。でも…」
ci「でも頑張らないけないときもあるよな。俺は詳しいこと分からんし、何を頑張っとるんかも知らん。せやから…」
彼女に向き直って、腕を広げる。にこにこと笑ってAの体を自分に抱き寄せて、ぎゅーっと彼女の体を包み込む。びっくりしながらも俺の体に腕を回すのが可愛い。
ci「俺の隣にいる間は頑張らんでええねんで。肩の力抜いて、体の力抜いて。少し緩めたらええねん」
「…うん」
ci「そんときは、こうして俺が抱きしめたるから」
ぽん、ぽんと彼女の背中を一定のリズムで叩く。俺がおる、ってちゃんと伝わるように。安心できるように。何処か緩められる場所がないと、人間は疲れてしまうから。
「チーノは、あったかいね」
ci「せやろ？俺の近くはあったかいやろ？いつでも安心できる場所になるで」
「うん。チーノのそばは、安心できて肩の力抜けるなぁ…」
ちら、と見えた彼女は、目を閉じていて安心しきった顔をしていた。その顔を見て俺も安心するし、嬉しくなる。彼女には休める場所があって、それが俺のそばであることに。
ci「俺のとこでゆっくり休んでから、また頑張ればええ。A。がんばれ。がんばれ。俺は、ずっと応援してるで」
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作者名：ゆう
| 作成日時：2021年10月11日 0時
