【d!】必要とされたい【短編集】 (ページ2)

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〇抱きしめて＊ci ページ2

仕事でミスをした。周りは私を責めなかったけど、逆に｢自分はなんてダメな奴なんだ｣と自責の念に苛まれて黒いものがぐるぐると回る。

｢向いてないのかなぁ……｣

口から零れるのは、ため息とネガティブな言葉ばかりでさらに気分が落ち込む。

｢はぁ……｣
ci｢A！A！聞いとる？こんな暗いとこでなにしてるんや！｣
｢チーノ…｣

大好きな声と共にぱちっと視界が明るくなる。心配そうに覗き込まれて、我慢していた涙がぶわぁっと溢れ出した。

ci｢わっ、どうしたんやぁ……｣
｢う"〜〜仕事辞めたい"〜向いてないよぉ……｣
ci｢ミスしちゃったんやな？｣

私の一言で全てを察してくれる彼は天才だ。優しく頭を撫でてくれる彼に身を任せてぽつぽつと感情を吐露していく。不甲斐ない、申し訳ない、向いてない、辛い、ネガティブなワードを吐き続けた。

ci｢Aは、一生懸命やったんやろ？せやったら俺は気にしなくていいと思うけど、そうはならんのよな。俺もたまにそうなるからわかる｣
｢う"う"〜〜｣
ci｢よし、今日は俺がいっぱい褒めたるわ｣

そう言った彼は、私のことを包むように抱きしめると耳もとで優しく言葉を紡ぎ始める。

ci｢Aは、頑張っててえらい。毎日よぉがんばっとるよ。気を張って、よく動いて、よく考えて。ホンマに偉いと思うで｣
｢チーノ……｣
ci｢俺の前でしか甘えんのは可愛ええしな。Aがいるから俺は頑張れてるんやで？｣
｢え……｣

顔を上げると至近距離で目が合う。彼の優しい笑顔に、心が暖かくなっていく。

ci｢Aの笑顔が好き。声が好き。手が好き。俺のとなりでずっと笑っててや｣
｢も、恥ずかしいって…｣

心臓がきゅーーって痛くなって、彼の肩に顔を埋める。｢ふは、かわええ｣という声が聞こえて、さらにきゅんっと締め付けられた。

｢キュン死しそう｣
ci｢元気出たやろ？｣
｢うん、元気出た｣
ci｢それはよかったわぁ。一緒にご飯食べて、風呂入って、はよ寝ような｣

うん！なんていって2人で支度をする。
さっきまでのもやもやは嘘のように晴れやかな気持ちになっていた。