【d!】必要とされたい【短編集】 (ページ1)

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◆その声を聞かせて＊rbr ページ1

彼氏のロボロは声が大きい。たまに鼓膜が破れるんじゃないかって思うくらいには。

rb｢A！こっちやって！！｣
｢うるっさ！もう少し声のトーン落として｣
rb｢すまん…｣

こんな会話は日常茶飯事。
でも、彼のそんなところが大好きだ。大きな声で名前を呼ばれると元気が出る。

そんな彼の元気がない日が続いた。

｢ロボロ？どうしたの？｣
rb｢ああ、Aか。なんもないで？｣

そういいながら弱々しく笑う。嘘つき。本当は元気ないくせに。なんもないわけないくせに。

｢も〜〜〜！｣
rb｢うわっ！なんや！！｣

素直じゃない彼をぎゅーっと抱きしめる。慌ててじたばたしながら私の腕の中で藻掻く。引き剥がされないようにぎゅーっと強く抱き締めても、男の力には叶わなくて引き剥がされてしまう。

rb｢もー！なんやねん！！！｣
｢だって……｣
rb｢…？｣
｢無理してるのに、私に頼ってくれないから｣

私が泣いてはいけないのに、何故か涙が出てくる。ぐす…と鼻をすすると慌てたように抱きしめられた。

rb｢心配させてたんやな、ごめん…｣
｢んーん。私が泣いちゃいけないのに…ごめん…｣
rb｢A、こっち向いて｣

その声に彼の方をむくと、普段は隠れている目が見える。おでこをこつん、と合わせて優しく頭を撫でられた。

rb｢気にしてくれて、ありがとうな｣
｢私には、弱いとこ見せていいんだよ。彼女なんだもん｣
rb｢うん、せやな、そうやな…｣

納得したように頷く彼は、肩に顔を埋めた。ぐす、と鼻をすする音が聞こえて泣いているのがわかる。弱っている姿も愛おしくて、さらさらの髪を梳くように頭を撫でた。

しばらくして、顔を上げたロボロは赤い目元を恥ずかしそうに掻いて、にっこりと笑う。

rb｢A！ありがとうな！元気でたわ！｣
｢もう、うるさいって！｣

軽く頭を小突いて、私も笑った。いつもの会話に胸が満たされていく。

ああ、やっぱりその声が大好きだ。