生まれた世界に乞う弐 (ページ13)

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炎の呼吸陸拾参ノ型ページ13

柱合会議が終わり、隠に縁下君とAちゃんを運ばせた。
私は非難の目を強く向けられてしまった。
仕方の無い事だけれど、今回ばかりは杏寿郎との対立も免れないだろう。

「…どういうつもりだ」

「禰豆子の事ならまだしも、あいつは鬼を増やし人間を食ったんだぞ…！！」

「わかってる。わかってるわよ…」

蜜璃やカナエちゃん達は心配そうに私を見ている。
不死川も鬼殺を止められた事情を知っていたが、私を見る目は厳しかった。
わかっている。
柱の立場で、Aちゃんを生かしておくことは出来ないと。
本当だったら、あの時、私はAちゃんの首を斬り落としていた。
その寸前を御館様からの伝令で止められたのだ。
察するしかなかった。
元より御館様は、Aちゃんを生け捕りにするつもりだったと。

「無惨と対峙した子達ですら気配を感じ得なかった。私が一番近くに居たのに、気付けなかった。私が首を斬るすんでのところで御館様からの伝令が入った事。御館様にも何か御考えがあったからでしょうね。…あの子を庇う気持ちは微塵も無かった」

友達だと思っていた。
柱であるにも関わらず、あの子が鬼だとすぐに気付けなかった。情けなかった。
人を騙し、極めて卑劣である行為を続けたあの子を、せめて友として正したかった。
決して、情が湧いたから庇った訳では無い。
私は竈門君に恩があるし、禰豆子ちゃんが人間を守り、共に戦った所を見た。
それは皆同じだ。
だからこそ、竈門君の言葉を私は…どうにか信じたかった。

「あの子が今までしてきた事は到底許されるべき行為では無いわ。許そうだなんて思ってはいないし、隊士達にAちゃんの事を説くつもりも無い。…でも、Aちゃんが言っていた片割れの存在を探す貴重な手がかりよ。それに、力もある。かつての上弦ノ参と同じ鬼血術を使っていたわ」

「その片割れが見つかるまでの間はどうするんだ。これまで通り、Aが一人で監視するのか？」

「そのつもり。私一人じゃ役不足だろうけど、全力で」

「馬鹿か」

急に不死川に暴言を吐かれて、私は目を見張った。
柱の皆の顔を見回すと、不安げな目で私を見ていた。

「Aさん、無理しすぎなんじゃない？」

「時透君の言う通りだわ…誰もAちゃんを責める気なんてないのよ…？」

「あの鬼を生かす事は反対だが、御館様のご意向でもある。折角キメツ学園に戻って来たのだから、護衛の手助けはする」

本当に、この人達は。