其の廿肆 ページ28
・
「‥‥‥まぢか」
新しい煙管に口をつけながら、ワシは頭を抱える。あちゃー、と言葉を漏らし、砕け散った煙管を軽く摘む。
「まさか、のぅ‥‥」
その破片をゴミ箱に入れ、もう一服、と紫煙を吸い込む。
ああ、やっと落ち着いてきた。
よしよし、状況整理。
神威が来る
↓
急に好きだとか言う
↓
キスされる
↓
今
改めて思い出すと、一気に頬が熱くなる。
‥‥‥‥って、イヤイヤイヤ!!?
何?頬を赤く染めるって!?少女漫画の主人公かワシは!!
「イヤイヤイヤ!落ち着け落ち着けワシがあんなクソ餓鬼に告白されてトキめかされた?イヤイヤイヤそんなの気のせいじゃ いやでもヘラっと笑った時はまだ可愛げがあったいや何考えてんだワシはでもきっと気のせいじゃつーか絶対気のせいじゃワシはそんな王道ラブコメに出るような主人公じゃなくてこの駄作者が考えた奇譚列設定の夢主じゃろ何変な事を言ってよし今こそ今までの知識を結集してヒッヒッフー」
そう一息で言い切ると、息が凄く荒れてるのに気づく。息を整えると、もう一服紫煙を口に含む。
「‥‥‥第一、ワシの好みはあんな餓鬼じゃのーて‥‥‥。そもそも、ワシの初恋は‥‥‥」
其処まで言うと、今まで荒れていた水面が凪いだように心が静まり返った。
机の上にある、押し花の写真立てを取り、回転させる。幼いワシと、隣の最早ワシの身長など越している幼馴染。そして、その後ろには
《アレを恋と呼ぶのなら
きっと、私の初恋はそれだった》
ぶらりと本屋に立ち寄った時、そんなアオリ文の小説を見かけた日があった。
それを見て、初めてその思いを自覚したようにも思える。けれど、自覚した時に、既にその人は死んでいて。
「‥‥‥墓参り、行けないねぇ‥‥‥」
浮かぶ紫煙を眺め、呆然と口に出た言葉は、情けなくもそんなものであって。
神威を恋愛的に見れるのには、どれくらい経つのだろう。
「‥‥‥‥ダメだ。疲れる。‥‥‥寝よ」
そう言葉をこぼすと、布団に潜り込んだ。
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山乙女 桜(プロフ) - 獅子の子さん» 大丈夫です私もあぶちゃん大好きです←。分かりました!ネタの提供、ありがとうございます! (2018年8月1日 5時) (レス) id: c43285d175 (このIDを非表示/違反報告)
獅子の子(プロフ) - あと山桜さんの小説自体が凄く好きです!いつもありがとうございます...! (2018年8月1日 0時) (レス) id: 8b211097c0 (このIDを非表示/違反報告)
獅子の子(プロフ) - あの…ネタ提供なんですが…阿伏兎と付き合ってる設定で一個欲しいです…いやあの神威落ちの小説ってことは知ってます、知ってるんですけどもね、あぶちゃん好きなんです自分(完全な私的好み)いやあの、ハイ。おなしゃす!!m(_ _)m (2018年8月1日 0時) (レス) id: 8b211097c0 (このIDを非表示/違反報告)
山乙女 桜(プロフ) - kamiyakazi725さん» 分かりました!ネタの提供、ありがとうございます! (2018年7月27日 6時) (レス) id: c43285d175 (このIDを非表示/違反報告)
kamiyakazi725 - こんにちは!とても楽しくこの小説を読ませてもらってます!さっそくなのですが、私沖田君が大好きなんです!なので沖田君との絡みが欲しいです! (2018年7月26日 23時) (レス) id: 7058246684 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:山乙女 桜 | 作成日時:2018年6月30日 19時