ひっこし ページ1
・
窓から見える景色はまったく知らないもので、少女は車のシートではぁ、とため息をついた。
『ままぁ』
「もうすぐつくからね」
『ねぇ、ままぁ』
「もうちょっとまってね」
『あたらしいいえすぎたよ?』
「……。」
これが彼女──
発言は少々行き過ぎているが。
『あたらしいおうちずいぶんひろいんだね、ぱぱ。くびのかわいちまいなんじゃなかったの?』
「どこできいたのかな?A。」
ご丁寧にシートベルトを掛けてやっていたトラのぬいぐるみを抱え、あたらしい家に入ったAは、すぐに飽きてまた外に出た。家具や荷物の整理で忙しい両親を他所に、Aはゆっくり歩道を歩き出す。
少し歩いた先にはきらきらで派手なお店。習いたてのカタカナでそれを読み上げる。
『ぱちんこ……パチンコ?』
なんだそれは、とAは首を傾げる。中ではたくさんの人が楽しそうにしている。
『あ、あれがもしかしてぱぱのいってた、おとなのげーむせんたーか。』
ひとりで悩み、ひとりで答えを出す。丁度金髪の若いお兄さんが入っていった。
また少し歩くと、今度は高校だ。背伸びして金網の隙間を覗くと、綺麗な銀髪の女子が黒髪の女子と廊下を歩いているところだった。
『これがままのいってた、じぇーけーのぱらだいす…あおはるたのしむだけのばしょ…ままもこころはじぇーけーなんだっけ。ここにいるのかな。』
うんうん、と頷いてまた歩き出す。そうしたら次は孤児院の前を通った。ちら、と横目で孤児院を覗くと、青い"インナーカラー"の入った青年が、床に散らばったおもちゃを片付けながら、女の子の髪を結わえてやっていた。
『いけめんだぁ…』
いけめんとはぜったいにけっこんしときなさいってままがいってた!
ぱぱじゃだめなの?ってきいたら、ぱぱだとおててがうしろにまわるんだって!
少女はにこにこしながらまだ歩く。
『とかいはこんなにすぐにこんびににであえるのかぁ』
ちょうどそのコンビニから空色のインナーカラーの入った白髪の少女と、ぴょこぴょこと動く愛らしい耳を持つ女性、そして赤い髪の声の低いお姉さんが出てきた。ひとこと聞こえた単語にAは首を傾げた。
『こうじょ?』
1884人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「2j3j」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
*24*(プロフ) - お友達のお名前、少し面倒かもしれませんが、読者側が設定出来るタイプにしたらどうでしょうか。主様の負担が増えてしまいますが…… P.S.更新ありがとうございます!!楽しく読ませてもらってます。これからも応援しています! (3月2日 7時) (レス) @page19 id: 1f8786d2bd (このIDを非表示/違反報告)
こころ(プロフ) - またにじさんじにハマり今色々と見て回ってるとこ見させていただきました!!すごく面白くて気づいたら全部見終わってました!続き待ってます! (3月1日 22時) (レス) @page18 id: a8c300d8b9 (このIDを非表示/違反報告)
本が大好きなハリネズミ(プロフ) - 友達なのでともこちゃん(漢字は考えてない)とか…安直すぎますかね? (2月29日 17時) (レス) @page16 id: 73a477d291 (このIDを非表示/違反報告)
0 - あっ好きですLOVEです恋です(?????) (2月25日 18時) (レス) @page15 id: 645ad981c2 (このIDを非表示/違反報告)
サーマル - コメント失礼します。連載初期から読んでいるのですが、主人公とみんなとのやりとりがとても良きでお気に入りの小説です。リクエストでaknとの絡みをお願いできますか?これからも応援しています。 (2022年10月31日 15時) (レス) id: f29b2f6f74 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ