歯車が外れた【shp】 (ページ9)

今日:123 hit、昨日:77 hit、合計:4,947 hit

9 ページ9

,

ふと目を覚ますと、隣にいたはずのAが既にいなくなっていた
彼女がいた部分はまだ温かみが残っていたため起きてからそう時間は経っていないのだろう

まだ重たい瞼を擦りながら部屋を出てAを探す
すると、ベランダの方にAの後ろ姿が見えた

「…A、？」

「ん………あぁ、ショッピか。おはよ」

「ぁ、ぅん。おはよ……」

まだ昨日の出来事の件もあって、個人的には気まずかったが相手は何事もなかったかのように平然と笑ってくれた
それでも、昨日よりも少し切なげにも見える
気の所為かもしれないが

「風邪引くで。こんな寒いのにベランダおったら」

「気ィつこてくれてんの？」

「…まぁ」

「…！ッへへ、…ショッピが心配してくれてんねやったら入ろか」

そう言いながら俺よりも先に部屋の中へ入っていったAの体からは、甘いシャンプーの匂いと、ほんの少し………もはや自分の匂いとも言えるショートピースの香りがした

,

「……………………ｯぁ、ショッピくんッ!!今までどこおったん？何もされてへん!?ごめんッ、私…私、！メールも既読つけへんし電話も繋がれへんし、ずっと…ぅ゙心配しとったんやで…、っ！？」

家に帰るやいなやみれいに泣きながら縋られた
まだほんの少しの苛立ちが残りつつも、彼女を抱きしめてこう言った

「…昨日久々にぶちょーとおうてん。やから飲んどったら気付いたら寝てもうてて…ごめんな。心配かけて」

「っほんま、？」

「ほんま」

「嘘ちゃうねんな、……？」

「…うん。やから、ごめん」

そう、嘘を吐きながらより一層強く抱きしめる
大丈夫。ちゃんと“彼女”の匂いは落としてきたし、バレることはない

…でもやはり、本人に会うと罪悪感で胸が痛む
理由は単純、まだみれいが好きだから

,

「Aなんか今日しおらしいな。どないしたん」

「ん…………あぁ、シャオロンか。別に何でも無いで」

そんなことより、と私は続ける

「お前あれほんまなん？えー………と、めっちゃ可愛いって有名の……なんとかさんフッたやつ!!」

「…あぁ、あれな。ほんまほんま。別に好きちゃうもん」

「うわぁ……もったいな、絶対付き合った方がよかったで」

別に興味ないしなぁと贅沢なことを言う目の前の男はこの会社で1番顔がいいと言われるシャオロン
確かに顔はイケメンだが私自身この男のどこがいいのかはさっぱりだ

「Aはさぁ、気になる人とかおらんの？」