歯車が外れた【shp】 (ページ2)

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…最近妻が何か隠し事をしていることに気がついた
それが良いことなのか悪いことなのかは分からない
飯は作ってくれるし、笑って話しかけてくれる
けれどそれは全部距離を感じた
どこかよそよそしかった

もしも彼女が悩んでいるのなら、全力で支えになってあげたかった
寄り添ってあげたかった

……けれど、それは俺の役目ではなかったらしい

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「………」

今日はたまたま仕事を早く切り上げて帰ってきた
今の時間、妻も仕事に出かけているだろうと思い、何も言わず家の中へ入れば靴が男物と女物があった
1つはよく見知った、妻のもの
もう1つは、見たこともない靴
一瞬嫌なことが頭の中をよぎった
不倫しているのではないか……いや、考えすぎか
もしかしたら、ただ客が来ているだけではないか
そう自分に言い聞かせて、中へ入った

リビングには……いない
洗面所にもトイレにもいない
居るとすれば………2階

ゆっくりと階段を登る
ここを曲がれば、寝室だ
ドキドキとなる心臓を抑えてそっと扉に耳を当てた

………聞こえてきたのは無音……ではなくベッドの軋む音と、信じていた妻の声
思わず後ろに仰け反った
今すぐこの場から逃げ出したい
そう思った時にはもう体は動き出していて、ただがむしゃらに走った

今日だけは、彼女に会いたくない
笑顔で話しかけられる自身がなかったから

現実を、受け止めきれなかったから

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時計を見ればもう6時半
この寒さの中で1日耐えることは厳しい
幸いカバンはちゃんと持っていたため、スマホを取り出して頼りになりそうな連絡先を探した
チーノ、コネシマさん、大先生……と画面をスクロールしていたところ、ふと手が止まった
“A”………何故なのか、無償に会いたくなった
幼稚園からの長い付き合いで、妻と付き合うことに協力してくれた親友でもあった

確か最後に会ったのは結婚式の日だったはず…

「………近くに住んでる言うとったよな…」

幸いなことにすぐに既読もついたし、泊めることもOKしてくれた
ただ、下着だけは持参してくれとのことだったので行き道のショッピングモールで必要なものや酒、つまみなどを買って指定された住所へ電車で向かった

インターホンを押すとすぐに扉が開いて、中からAが顔を出して相変わらずのテンションでこう言った

「久しぶりやなぁ！！ショッピ！！」