高嶺の花 3

返ってこない連絡と帰らない元カノ/剛典side ページ25

「いつまで居る気なんだよ」


「もぉー！少しくらいゆっくりしてったっていいじゃん」


少しってあれから1時間経ってんだけど
すぐ帰すつもりだったのにsayuはソファーに座ったまま動かない。
無理やり引っ張り出すわけにもいかず
さっきからこんな会話何度も繰り返してる


「さっきからスマホ気にしすぎじゃない？放っておいて一緒にDVDでも見ようよ」


まだあの頃の様にここに居るのが当たり前のように振る舞うsayu
テレビラックの棚を開けてDVD置いてる場所を探ってる


Aから返事どころか既読もつかなくてそれだけでいっぱいいっぱいなのに勘弁してくれよ


「なにこのDVD。もしかしてあの子の？見てるもんまでセンスないよねー。もう捨てちゃお」


Aがお気に入りのDVD
他人の物なのにそのDVDを躊躇いもなくゴミ箱に捨てるsayuの神経疑う


「なにしてんだよ。勝手に触んな」


そのDVDを拾い上げてあるべき場所に戻して
ラックのトビラを閉める


「えー…いいじゃん。どうせすぐにここもまた私のモノになるんだし？いらないモノは早く片付けとかないとねー」


「は？どういう事だよ」


「なんでもなーい♡」


引っかかったsayuの言葉を聞き返してみても
なにか含んだような表情でなんでもないって繰り返すだけ


「そんな怖い顔しないでよ。これからいつでも来れるんだし今日は帰ろっかなー。また来るね」



バッグを持ってさっきとは打って変わって帰る身支度を始める
また気になる言葉を残して行くけど
気にしたらなんか負けみたいだから敢えて聞かぬふり


玄関に向かうsayuを見送る事なく俺はA
とのトーク画面を開く
でもやっぱり既読も返事もなくて無意識に溜息が溢れ出す



「見送りくらいしてくれてもいいじゃん。近々また会いにくるからねー！ばいばーい」



玄関先から俺に聞こえるような少し大きめの声も無視
最後にもうっ！と言う言葉を残してsayuは出てった。



「最悪…匂い残ってるし」



sayuの残り香が部屋に漂ってる
付き合ってた頃好きだった甘い香りも今は気分を害するものでしかない。

部屋中の窓を開けて部屋の空気を入れ替え。
爽やかな風が頬を掠めて気持ちいいはずなのに
今はそんな事気にする余裕もない。


ラインがダメなら今度は電話。
連絡取れないだけでこんなに焦ったこと今まであったっけ…なんて考えながら
コール音に耳を澄ませた

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