高嶺の花 3

電話に出たのは ページ19

2時間くらい運転して着いた実家
朝早くに出たからそれでもまだ10時になったばかり。
相変わらず剛典からの連絡はないけど
昨日は朝まで飲んでたみたいだし寝てるのかなって
自分を納得させようとする。


「あんた達朝ご飯は？」


「んー…軽く食べよっかな」


「じゃあすぐ用意するからちょっと待ってて」


「わかった、ちょっとコンビニ行ってくるね」


お母さんとそんな会話をしてスマホと財布だけ持って家を出る
コンビニ行くって言うのは口実で剛典に電話したいから

あそこじゃお母さん達に電話聞かれちゃいそうだし。


もう少しゆっくり寝かせてあげたいけど
昨日あんな感じで別れちゃったから気になるし
仲直りするなら早くした方がいいよね。


なんて謝ろうかなって考えながら
かけ慣れた番号に発信する。


なかなか出なくてやっぱ寝てるのかなって諦めて切ろうとした時電話が繋がった


「あっ…もしもし、ごめんね？寝てた？」


「………」


何故か私の問いに返答は無い


「剛典？聞こえる？」


「剛典ならまだ寝てるよ」


「えっ…」


電話の向こうから聞こえたのは紛れもなくsayuさんの声で
わけわかんなくて思わず言葉を失う。


「そういう事だから剛典にはもう近づかないでくれる？」


「ちょっ…それってどういう…」


「どういうことって…わかんないの？私が剛典の電話に出れる状況の意味」


「なんでっ…剛典に変わってください。直接話したい」


「直接話しても別れ話されるから傷つくだけだと思うよ？だから私が代わりにこうやって伝えてあげてるの」


「そんな…」


「とにかくそういう事だからもう剛典にしつこくしないでね？剛典は返してもらったから、ありがとう」


一方的に切られた電話に私はただ立ち尽くす。

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