高嶺の花 ２

帰り道の憂鬱 ページ46

その後のsayuさんの言葉は記憶になくて
きっと右から左。
ボーッとしてる頭の中では
剛典の為にしてあげられることはなに？
って言葉がずっと反復してる。


なんだろ…そんな事考えた事もなかった
ただ好きで側に居たくてそれだけじゃダメなのかな。


芸能人ってそんなにすごいの？
ただ普通に付き合う事も許されないの？

そんな疑問を抱えるけど現実問題きっと許されない。
この人が彼氏ですってみんなに紹介する事も
手を繋いで歩く事も
当たり前の事が当たり前にできない。




sayuさんはきっと一般人の私なんかより
剛典の隣が似合う人。
そして剛典を支えることができる人。


わかってる…わかってるけどこの場所を譲りたくない。


sayuさんが最後に放った
剛典の事を想うなら別れてって言う言葉に頷くなんてできなかった。


こんな修羅場劇みたいなセリフ
まさか自分が言われるなんて思ってなかったなーなんて考えたりして



スマホに届いた剛典からのラインは開けぬまま
こんなごちゃごちゃした気持ちのまま会えないよ。


一人歩く夜道はジメジメしてて
もうすぐ雨が降るかも。
降り出す前に帰らなきゃと
このまま立ち止まりそうな程沈んだ気持ちを持ち上げて家路を急いだ。

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