高嶺の花 ２

なんでもする ページ35

「はい…彼氏居ます」

嘘つくのは違うかなって思って
でも余計なことには触れずに居ることだけ伝える。


「そうなんだ。Aちゃん可愛いもんね、柔らかいって言うかなんか一緒に居たら幸せになれそうな感じ？」


「いやいや…そんな。滅相もございません」


「あはっ、今時そんな言葉使う子初めてだよ。Aちゃんって面白いね」


よかった…とりあえず自然に会話出来てるよね？
妙に緊張しちゃって目の前のアイスコーヒ無駄に何回も飲んだりして。



「いいなー…私もね少し前まで彼氏が居たんだけど最近別れちゃって…。でもまだ好きなの。すっごく好きなの」


伏せ目がちのsayuさんの表情は切ない。
その表情だけでその人をどれだけ好きか伝わる程
そしてその相手はきっと剛典で



「あの…ど、どうして別れたんですか？」


聞かなきゃいいのに…絶対後悔するって分かってるのに気づいたら私はそんな質問を投げかけてる



「相手に好きな人が出来たんだって。なんか最近上の空でおかしいなって思ってたんだけど…まさか好きな人が出来てたなんて思わなくって。私が彼に甘えすぎたのかな？恥ずかしいけど振られちゃった」


笑いながら話してくれてるけどその表情は明らかに無理してる
無理矢理笑ってるその顔に私の心臓はキュッと締め付けられる


私はどうしたらいい？わかんないよ。
私も剛典が好きで、剛典と一緒に居たくて
でも目の前のsayuさんは苦しんでる


後から来た私の方が絶対邪魔なはずなのに
この場所を譲れないのは剛典への想いがあるから。



「私彼を取り戻す為ならなんでもする。それくらい好きになったの初めてなんだぁ。Aちゃんは今の彼それくらい好き？」


「いや…えーっと…」


「って怖いよね。変なこと言ってごめんね？」


一瞬…本当一瞬だけsayuさんが違う人に見えた。

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