高嶺の花 ２

カフェへのお誘い ページ33

山下さんの優しさと
自信持っていいと言う言葉に励まされて
うじうじしてた自分をなんとか押し込んで。


剛典が今付き合ってるのは私なんだし
元カノなんかに惑わされちゃダメだよね
…強くならなきゃ


目が合うだけで話すだけで幸せって思ってたのに
恋は人を欲張りにする
相手の全てが欲しくて全て受け止めてほしくて
こうやって悩んだり落ち込んだり

人よりもきっと悩む事が多い恋だから
その分私は剛典を信じなきゃ



『帰国明日に早まりそうかも！帰れるの遅くなると思うけど明日は俺んちで待ってて？』


剛典から届いたそんなメッセージに曇ってた心も少し晴れやかになる


明日やっと会えるんだ
ほんの数日会ってないだけなのにこんなに寂しくなるもんなんだね、人って


剛典へと待ってると言う言葉と添えたスタンプを送って
タイミングよくエレベーターの到着を知らせる音がして
顔を上げてドアを開くのを待つ


少しずつ開くドアから段々と会社のエントランスが見えてそこに立ってる女性が1人
無意識にその人の顔を見れば私が今1番顔を合わせたくない人で
悔しいくらい綺麗なその人は私に気づいて微笑んだ


「あー！この前の！」


sayuさんはエレベーターに乗るはずなのに
降りた私に着いてきて仕方なく私も足を止める。
本当は挨拶だけにしたかったんだけどな…

そうも言えなくて自分で見たらきっと笑っちゃうくらいの作り笑顔


「お仕事終わりですか？」


「はい。sayuさんは今日は打ち合わせですか？」


「そうなんです！でも打ち合わせまでまだ時間があってどこかで時間潰そうかと思ってる内に着いちゃって…そうだ！お時間ありませんか？」


「えっ？時間ですか？…えっと」


「どこかのカフェで少しお茶しませんか？お話したいと思ってたし」


時間なんてないですって言えば済んだのに
ｱﾜｱﾜしてる間に話は進んで押し切られちゃったよ…
どうすんのこれ…


いいカフェ知ってるんですよーなんて
ルンルン気分で先を歩くsayuさんを見ながら
溢れる溜息を空に逃がした

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