高嶺の花 ２

電話の相手の呼び出し ページ4

「いや…無理だって。今行けないから」

「もう俺が行く必要ないだろ、自分でなんとかしてよ」


向こうの方で電話で話してる岩田さんの声が
少しだけ聞こえてくる


別に聞く耳立ててるわけじゃないんだけど
部屋が静かだからどうしても聞こえちゃう


話の内容、話し方的にも
やっぱり相手は女の人



岩田さん…行っちゃうのかな…
でも彼女とは別れたって言ってたし…


気を紛らわす為にスマホを触って
意味もなくSNSのアプリを開きながら
そんな事を考えて


「Aちゃんごめんね、お待たせ」


スマホを片手に戻ってきた岩田さんは
また私の隣へと腰かけて
ここに居てくれるみたいでよかった

ホッとしながらホームボタンを押して
テーブルにスマホを置いた後岩田さんに寄り添って
この先の甘い時間に期待を膨らませる



「電話大丈夫なんですか？」


「その事なんだけど…ごめんね急な仕事が入っちゃって行かなきゃいけないんだよね」


わざわざ電話の話振らなきゃよかったのに！
私のバカ！！！

でもどちらにせよ
きっと岩田さんは行くんだろうけど


「本当にごめんね、埋め合わせは今度ちゃんとするから。美味しいものでも食べに行こ？」


落ち着かない様子で早々に立ち上がって
私を気にしながらも玄関に向かう


「お仕事なら仕方ないですよ！頑張ってくださいね。おやすみなさい」



仕事なら仕方ないよね…
仕事ならね…。


岩田さん…1度傷ついた心は
もう埋め合わせできないんだよ。

彼女と別れてないなら
期待させないで欲しかったなー…

でもまぁ…する前でよかったかな？なんて
自傷気味な考えまで出ちゃって


去り際後で連絡してと渡された
岩田さんの番号の記されたメモは
テーブルに置いたまま連絡する事はなかった

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