高嶺の花 ２

合鍵 ページ27

数日の分と剛典は私へと深い愛を何度も刻み込んで。

これ…明日動けるかな…
まだ少し汗ばんでる身体に抱きしめられながら
そんな事考えたりして。


明日早いから今日はゆっくり寝てって言ってるのに
この子犬言うこと聞かないの


子犬みたいな可愛い顔で私に甘えてきて
蓋を開けたら立派な狼さん
…本当剛典には翻弄されてばっかり



「そうそう、Aに渡したいものあるんだよね」


なにかを思い出してパンツだけを履いてリビングに向かった剛典
多分なにかを取りに行った様子でほんの少しすると戻ってくる


「これAも持ってて」


渡されたのは一目でわかるポールスミスのパスケース
シンプルだけど女性らしいデザインで控えめな花柄のラインがさりげない華やかさを醸し出してる。


なんでパスケース？と疑問に思いながらも
中身を覗くとそこには既にカード


「えっ…これって…」


「ここのカードキー。これからなにかと必要になると思うから持っててよ」


「でも…このパスケース高かったでしょ？」



剛典にとってはそんなに高価なもんじゃないんだろうけど私にとっては手を出すには少し勇気のいるもので


本当は嬉しくてたまんないの、この合鍵もパスケースも
でもなんだか申し訳なくってそんな事言っちゃう
私、可愛くないなー
ありがとうって素直に受け取ればいいのに…それがなかなかできないの


「そんな事気にしなくていーの。長く使うものだから大切にしてね」



『長く使うもの』


そんなさりげない言葉がこの先私達は長く一緒に居られるって言われてるみたいで心が小さくキュンと鳴って


「ありがとう、大切にします」


「合鍵渡すだけなのに…なんか幸せだわー」


私も。って微笑むと剛典の手に合鍵は奪われて
ベットサイドの小さなテーブルの上に置かれる


そのまま剛典は私へと近づいてきて優しく頬を撫でて
近づいてきた顔が合図のようにそっと目を閉じると暖かい唇が重なると同時に私の身体はまたベットへと引き戻された。

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