高嶺の花 ２

呼び捨てとおかえりなさい ページ23

「えっ…今なんて呼んだ？」


驚いて目を見開きながらも抱きついて出迎える私の腰に腕を回して受け止めて


「剛典…おかえりなさい」


さっき言った言葉をもう一度、
今度は剛典の腕の中で伝える



「やばっ…結構それクるわ…」


口元を手で隠してるけどニヤニヤ溢れてるよ？


被ってる黒いキャップとお気に入りのサングラスを外して
多分この流れ的にはキスされるのかな


まだ慣れてない剛典とのキス
顔が近づく度に苦しくなるくらいキュッてなるの

思わず逃げたくなるくらい無駄にドキドキするけど
でもキスの甘さには勝てない


私の後頭部に手を回して優しく引き寄せられて
それが合図のように私も目を閉じて


チュッと触れた唇
それは私が物足りないって思っちゃうくらいにあっさりと離れて


…いつもならもっと…こう…


そう思ってしまう私は多分剛典に上手く躾られてる


私から少し離れて、でも腰に手は回ったまま
剛典の可愛い顔はニコニコニコニコしてる


「A…ただいま」


照れて思わず目を逸らしちゃうくらい
完璧なただいまの挨拶


「…いつまでここでイチャイチャしてるんだろうね」


いつまでも玄関から動けない私達に思わずおかしくなって
思わずふふって小さく笑っちゃって


それが合図のように剛典も私から離れて
やっと靴を脱いで部屋へと上がる


私の靴の隣に剛典の大きな靴が並ぶ
コロンと転がるように脱がれた靴は剛典らしい


そんな剛典の靴をさりげなく並べ直して
先に部屋に向かう剛典の後ろへと着いていく



「ご飯とお風呂どっちにする？ちなみに今日のメニューは鶏のさっぱり煮にしてみました」


「んー…ご飯もお風呂も捨て難いなー」



悩みながら剛典はソファーにドサッとカバンを下ろして


もう、またそんな乱雑な置き方するんだから！


「先にAにしよっかな」


カバンを邪魔にならない場所に移動しようとしてる私は後ろから抱きしめられて動きを奪われる


「冗談はいいから。どっちにする？」


「冗談じゃないよ？まじまじ」


行こっかと笑顔を見せる剛典はさすが岩田剛典というべきか


…ご飯食べらんないかもなー


今から私と剛典の行く先は寝室。

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