高嶺の花 ２

お誘い ページ15

私達を乗せたタクシーは
岩田さんのマンションへと向かって


これどうすればいいの？
岩田さんが降りた後乗ったまま
自分の家まで帰ればいい？
それとも一応一緒に降りてここから歩いて帰る？


そんな事考えながら
後少しでマンションへと着く道程を見つめて


「どうしたの？」


「へ？」


「すっごい難しそうな顔してる。なんか考えてんの？」


「いやー…食べ過ぎちゃったなーって思ってただけです」


まさか私の脳内を曝け出せるわけなくて
ヘラヘラしながら誤魔化してみたり


私が迷ってる間にタクシーは到着して
ドアが開いて私達が降りるのを待ってる

開いたドア側に座ってるのは岩田さんで
まずは岩田さんが先に降りて
なんかこのままお別れって言うのも
味気ない気がして私も一緒に降りて


「私近いのでここから歩いて帰りますね。今日は本当にご馳走様でした…それじゃあ」



改めて今日のお礼を伝えて
なるべく岩田さんの足止めをしない様に
走り去ったタクシーの後を追うように
1歩足を踏み出すとそれとほぼ同時に掴まれた腕

それ以上進む事ができなくて
私の手を掴むその人へと目を向ける


「なに帰ろうとしてんの？」


「え？だって岩田さん用事があるんですよね？だから先に帰ろうって…え？」


「用事あるなんて一言も言ってないじゃん。俺が先に帰ろうって言ったのはAちゃんと2人っきりになりたかったから。行こう？」


腕を掴んでた手は
滑るように私の手を握り直して
キュッと握られると
まるで私の心臓も掴まれたみたいにキュンてして


どこにとか言われなくたってわかる…
私は今岩田さんのマンションに誘われてる

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