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これから起こるであろう事を想像しただけで今すぐここから逃げ出したくなる。
廊下からゆっくり顔を覗かせた裕翔。
きっと俺が寝てると思ってゆっくり入ってきたんだろうけど、残念。今俺はあなたの息子に抱きつかれてます。
「え?」
『裕翔、おかえり』
〈おかえりぃ〉
「いやいやいや、大貴、何してんの」
〈ぎゅー!〉
「いや、ぎゅー!じゃないよ」
始まりました、親子戦争。
こんな夜に、しかも寝ようとしてる俺の目の前で。
裕翔がどかどかと近寄ってきて俺の手を握る。
その顔はもはや父親ではない。
「大貴、そこパパの場所」
〈いなかったもん!〉
「お仕事だったの!俺がママと寝るの!」
『裕翔声でかい、うるさい』
〈んん、りょーすけ、ゆーととねるの…?〉
『え、あー、…』
「そうだ、やまが選んでよ」
『いや、』
「どっち?」
〈どっち!〉
ほんっとにめんどくさいなこの親子…!
どっちでも良いだろうよ!結局先に寝るのも最後まで寝てるのもお前たちなんだから!
と、言いたいところだけど大ちゃんが物凄いうるうるした目で見つめてくるのでそうは言えず。
…あー、今日絶対眠り浅いぞ、俺。
『じゃあ3人で寝よ、?俺もう眠たいの』
〈んへへ、やったぁ!〉
「大貴、俺ママの前ね」
〈やだ!おれがまえ!〉
「んなっ、!」
『裕翔は後ろ、大ちゃんは前』
さすがにここまで来ると大人気ないので強制的に決めました。不満そうな裕翔は置いておいて、大ちゃんを壁側に寄せて抱き寄せる。
…冷静に考えて狭いな。狭すぎる。
『そんなに不満そうな顔すんなら裕翔だけ部屋別にするよ』
「うわっ、やだ。すぐ寝る準備する!」
その後、戻ってきてベタベタくっついてくる裕翔とスヤスヤ眠る大ちゃんに挟まれて、小一時間眠れなかったのは多分、言わなくてもわかると思う。
「んー…やまいい匂い…」
〈んへへ、…りょ、……けぇ…〉
『…明日絶対殴る……』
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作者名:時雨 | 作成日時:2021年5月6日 17時