生涯現役(春待つ孤独)2 (ページ3)

今日:5 hit、昨日:0 hit、合計:18,578 hit

重なった想いページ3

あの日、ギリギリまで悩んで着て行ったのは
川西さんに初めてもらった花柄のワンピース。
春夏で着れるデザインと色合いだったからって言うのもあったし

今度会うときに着てくれたら嬉しいなぁ

この言葉が頭をよぎったからって言うのもあった。
実は誕生日に貰った日から一度も着ていないままで、せっかく着るなら川西さんと会うときにと決めていた。

あの日の川西さんは珍しくお酒を飲んでいなくて、とても深刻な表情だったのを覚えている。

A「どこか体調でも悪いんですか？」

川西「え？なんで？」

A「今日は全く飲んでないで。
あっ！やっぱり明日の単独緊張してます？
表情がずっとかたいので」

暫しの沈黙の後

川西「いや………
今日はAちゃんに大事な話があって」

キョトンと首を傾げる私。
机にコトンと小さい箱を置く川西さん。
それを見て目をパチパチさせる私。
そして少しの笑みを溢し、深呼吸をしてから口を開く川西さん。

川西「俺と結婚を前提に付き合ってください。
さみしい時は俺がおる。仕事柄遠距離になるけど、いつも心は繋がってるから。一人やないから」

気付いたら涙が溢れていた。
さみしいと送ってしまったあの日からお互いにふれずにいた事。
それをずっと思っていてくれた川西さんの気持ちが純粋に嬉しかった。
今まで誰にも言えずにいた事も、川西さんは受け入れてくれる。
川西さんになら本音で話しても大丈夫だと思えた瞬間でもあった。

泣いてばかりもいられず、思いを伝えなきゃと思ったのに出てきたのは

A「私で良いんですか？」

そんなので。
それでも川西さんは笑顔で頷いてくれて

A「不束者ですが」

頭を下げた…………